本)ミステリー

May 19, 2018

恩田陸「夜の底は柔らかな幻」上・下428−429冊目

面白かったけど、ダークファンタジーを読みたかったわけじゃないので、微妙。
「イロ」が超能力の一種で、「途鎖」が土佐の同音異義国の異境だということはすぐわかったけど、「ソク」って何だったんだろう。何も説明しないで放置、ってのが恩田式なのかな。
主人公のスナイパー「美邦」は魅力があるんだけど、容貌がまったく想像できないのはなんでだろう。甘さの一切ない女性警官、というだけじゃなくて、一流のアスリートでもある。ってどんな人なんだろう。

恩田陸の描いた、異世界じゃなく現実に近い世界で起こるドラマをもっと読みたいなーと思います。探してみよう。

May 12, 2018

恩田陸「ユージニア」427冊目

これも重層的な、いろいろな人たちの言い分が出てくる小説なんだけど、ちょっとオカルトっぽい方向に行き過ぎてる気がします。いやでもそれが神秘的で惹かれるんだけど。ミステリーというには美少女ロマンが強すぎるかな、と。

ディストピアじゃないの。暗いユートピア。謎の言葉「ユージニア」から広がるその世界の美しさに、ちょっとうっとりしました。

恩田陸「中庭の出来事」426冊目

面白かった。立体的な織物みたいに、重層的に進んでいく物語。
あっちのお話とこっちのお話が関係していたり、あの人の話とこの人の話が違っていたり、ということが作者はとっても好きなんだな。普通に聞いている話が途中から化けていく「・・・え?」という驚きが。

トリックが現実的に可能か?というところはなんともいえないと思ったけど。
面白いものを書く、面白く読ませる、という読者の気持ちがよーくわかった素敵な作家です。

February 01, 2018

一色さゆり「神の値段」415冊目

書評かなにかで見て、図書館で借りられたらいいな〜と思って調べたら、たまたますぐ借りられてよかった。
ギャラリーで働く若い女性が主人公で、幻の(生きているかどうかもわからない)アーティストと、ギャラリーを取り巻く不思議な人たちの世界を見事に描いた読み応えのある小説でした。

しかし、現代アーティストで世捨て人っていうのがイメージが逆で不思議だし、世捨て人だけど自分の手を動かさず、工房に指示して作品を作らせている(とてもコマーシャルな感じ)というのもにわかに理解しがたい。そういうのが現実にあるから、アートの世界は本当にわからない。(そこが小説としてはとても面白い)

「このミス大賞」の選評を読むと、警察の捜査などの描写力がまだまだ、とか書いてあって、そうなのかもしれないけどあまり気になりません。美術に関わる人たちって、純粋で欲がないみたいなイメージもあるけど、全然感情に流されない描写が割とスカッと読めます。次回作も読んでみよう。

March 11, 2017

山口雅也「ミステリーズ」393冊目

珠玉の、抱腹絶倒の、短編集。
1990年初頭にさまざまな雑誌に書かれた短編を集めたものだけど、Disc 1&2に別れて構成されていて、洒落ています(本当はこの年代の作家ならレコード盤の「Side A&Bにしたかったはずだけど、微妙にCDが幅を利かせてきた時代だよね)。

傑作と名高い処女作の「生ける屍の死」がすっごく面白かったので期待して読んだら、期待をさらに超える素晴らしさでした。私は「解決ドミノ倒し」が好きだ!これ下北あたりのアングラな舞台でやってほしい。もうやってるかも。
このお話は、かんたんに言うと、探偵が広間に容疑者全員を集めて「この中に犯人がいる!」から始まる、ミステリーの「解決編」だけの短編。しかし「ドミノ倒し」ということで、刑事がてきとうな推理をして「お前が犯人だ!」と言ってもカンタンに犯人に論破され、「ではそちらのあなたが犯人でしょう!」と言うとまた・・・と繰り返して、一体誰なんだ〜、と言うお話。腹を抱えて笑えます。

冒頭の「密室症候群」や「不在のお茶会」は、いわゆるメタ設定がループして(「解決ドミノ倒し」もそうだけど)、めくるめく構成の楽しみのある大人向けの短編なのですが、その中に心理学やなんやらの小難しい説明もちょいちょい挟まれます。とにかくさまざまな文系の分野の造詣が広く深くて、どれくらい深いかと言うと、大人の余裕で笑いにできるくらい深い。読む人はニヤリ、あるいはワハハと笑いながら、何やらマニアックな世界に魅了されていきます。

2冊目にして、my favorite作家のリストに加わりました。きっと読破してみせる。
どうやらこの本、今は絶版のようですが、図書館にはあるし古本は1円とかで買えるので、気が向いたらぜひ読んで見てください。

March 06, 2017

有栖川有栖「江神二郎の洞察」392冊目

面白かった。
この人の作品の一番力が入ってるところはいつも、「全員がアリバイがあるように見えるのに、犯人だけが殺人を犯すことができた。それは誰か、そしてどういう理屈か?」だと思う。動機を描き出すために長い背景を語ることが絶対必須ではないので、私としては短編集の方が良いののかもしれません。

が、いつものように、ミステリー論を展開する部分が全体の2割くらいはある感じ。
めちゃくちゃミステリーファンで、メジャーどころを読み込んでいるような人なら、フルに楽しめるんだろうけど。
これで一旦、この作家は打ち止めにして、他の作家のミステリーも読んでみようと思います。

February 28, 2017

有栖川有栖「鍵のかかった男」391冊目

これは2015年に書き下ろしで発売された作品。
今までで一番読みやすかった。大人らしい抑えた文体だし、”鍵のかかった男”が重層的で興味をそそられます。
宝くじ当選とか事件に巻き込まれるとか抑えた文体とか、私の敬愛する佐藤正午を少し思い出しました。

ミステリー的にはこの作家のいつもの「犯人は誰だ?」が主で、いつものように最も重要なのは「タイミング」です。アリバイはない、だけどなぜこの人にしか犯行ができなかったのか? 
でもやっぱり、動機がなぁ・・・。最後の最後にとってつけたような動機が語られても、ここまで読み進んで、登場人物それぞれの人となりを一応わかったつもりでいるからこそ、「なるほど、あの人がねぇ」という納得感が欲しかったです。

February 25, 2017

有栖川有栖「月光ゲーム」389冊目

この作家のファンではないし、与えられた謎を真剣に解くこともせずに、ただ気軽に読んでるだけなんです、すみません。でも面白かったよ。3部作の中で、これが一番小説として楽しく読めた。まだ大学生の空気が作者に濃く残ってたからか、その場にいて自分も仲間に入っているような楽しさ。キャンプ場にいるというだけで上がるテンション。
ミステリーとしての謎解きの面白さは、私は今もこの作家の肝みたいなものが掴めてないのでなんともいえないんだけど、だいたいいつも、誰もアリバイがない状況で、たっぷり与えられたヒントから「その時本当にそこにいられたのは誰か」をあぶり出す、という形なのかな(今までのところは)。

私みたいなパラパラ読みではパズルまでは解けないんだけど、それでも解答のひねりは十分あじわえます。
この作家は、”死んだと思った人が生きてた”、”ゾンビになって殺人をした”、みたいな超法規的解決をしないのが良いんだけど、作家ごとにルールが違うから慣れるのが大変だよ・・・。

でも続いて2冊読みます。

February 21, 2017

京極夏彦「魍魎の匣」388冊目

読んだー!
重かったー!(※物理的に)
1048ページ。いやー面白かった。
最初は、旧仮名遣い文が混じるし、霊能者とはなんぞやとか、魍魎とはなんぞやとか、長い長い説明が面倒な気がしたこともあったけど、どんどんはまり込んで、後半は夢中で読み進みました。
長くて複雑、パラレルでいくつもストーリーが進行する、という小説や映画は昨今数多くあるけど、この小説はパラレルなスレッドがそれぞれ数人ずつの共通人物でつながっていて、完全に独立しているわけじゃありません。だから気持ちをいちいち切り替えないで読めるし、重層的なのです。

オカルトと科学と人間同士の愛憎が、それぞれちゃんと深く描かれているし、うまくつながりあってる。著者はそうとう頭のいい人だなぁ。

京極夏彦ってこういう感じなんだ。いくら何でも長すぎるので、そうそう読めないけど、この人の名作と呼ばれるものは一通り読んでみたいな。あー、大人にも退屈で長い夏休みがあればいいのに。

February 18, 2017

有栖川有栖「孤島パズル」387冊目

大学生の江神探偵シリーズ第2作。先に読んでしまった「双頭の悪魔」が第3作なので、順番間違ってる。
しかし「双頭の悪魔」が分厚い力作すぎて個人的にはめんどくさかったのに比べると、こちらの方がシンプルで人間関係も納得しやすかったです。いくらトリックに凝るといっても、「双頭の悪魔」のxx殺人は余程の信頼関係がなければ・・・ぶつぶつ

順番が真逆ですが、この後第1作の「月光ゲーム」も読みます。

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