本)全般・その他

October 27, 2019

半藤一利・出口治明「世界史としての日本史」474冊目

感想をなんて書けばいいんだろう。

わずか250ページの新書で、世界史としての日本史を把握できるはずもなく、この本は「ネットやメディアから流れてくる断片的な情報をうのみにするな」「本を読め、勉強しろ、教養を磨け」「まず選挙に行ってないやつは行け」といった警鐘を鳴らすために書かれた本です。私自身、日本史もだけど世界史の知識がゼロに限りなく近いことをずっと恥ずかしく思っているけど、じゃあ今から本気でどこまでやるんだ?身に着くと思ってるのか、身に着けたところで私のような木っ端会社員がどうするんだ、立派な社長にでもなれると思ってるのか?としょんぼりしてしまいます。

でも、会社員の立場を捨てて、例えば明日から添乗員をやります!と思ったところで、外国から来る教養溢れる人たちに、日本の世界遺産をどのように説明できるのか。小さい世界で同じ人たちとだけ暮らしていくなら、学校で習った以上の勉強はしなくていいのかもしれないけど、私はいつも新しい刺激を求めるほうなので、何も知りませんというわけにはいかない。

この本には、読むべき本の長いリストもついてます。私の場合、まず日本史と世界史の教科書を読みなおすべきだと思うけど、そのあとでも先でも、少しずつ彼らの教えに従って本を読んでいこう、と思います・・。

October 13, 2019

モーリー・ロバートソン「悪くあれ!~窒息ニッポン、自由に生きる思考法」471冊目

いつも「所さん!大変ですよ!」で見ている、いまは好々爺ふうのモーリー・ロバートソン。アングラ好きな友達は彼のことを崇拝していて、そのギャップが埋められなかったので、一回彼の著書を読んでみようと思いました。

すご~く易しいことばで書かれた、本を読んだこともない”意識低い”?日本人を啓蒙する趣旨の本でした。書いてあることはだいたい共感するけど、この本を読むに至った人は易しすぎると思うだろうし、この本を読んだほうがいい人は結局一生読まないんだろうなぁ。共感しない部分は、大麻合法化ってのがやったことがない私には全然わからないってことと、やったことがあったとしても、コーヒーはいいとかタバコはいいとか、嗜好品はいくら勧められても自分がいいと思わないとやらないだろうからな。

しかし、こんなに易しい言葉で日本人を啓蒙してくれる彼はとても優しい人だと思う。完全に日本人でも完全にアメリカ人でもなく、どっちの社会でもイジワルされて嫌~な思いをしたのに、奴らをほったらかしにしないで助けに戻ってきてくれてるんだから。

ひるがえって自分を顧たときに、少しはまともな大人になれたんだろうか。旅行するようになったのは本当に最近のことだし、なんだかんだ言って私が戻るところは近くに温泉のある田舎の小さい家か何か、とってもスケールの小さいところなんじゃないかという気もしてます。

自分が「ひとかどの人間」なのかどうかって、みんなどうやって判断してるんだろう。私が自分をひとかどだと思えないのは自己肯定感がまだ低いからか、それともまだダメだからか・・・。まあいいか。こんなこと考えても意味ないですね。

とりあえず、自分はちゃんと自分として生きられているか、自問しろというのがこの趣旨でもあるなら、それくらいはできてるかな。体が動くうちに動かしておこうと思えるのはそろそろ最後だから、もうちょっと思い切り出かけてみよう。

October 09, 2019

井出明「ダークツーリズム~哀しみの記憶を巡る旅~」470冊目

”負の遺産”に行く目的でどこかに出かけることはめったにないけど、行った先にそういうのがあるってわかったら必ず行きます。沖縄も、ベルリンも、広島も。一度だけボランティアツアーで福島に行ったのも、本当のことは自分の目で見て自分の足で歩いて知りたい、というのが強いから。

でもたいがい、目的地では楽しく過ごすのが第一の目的なので、この本の「第一の目的がダークな場所」というのはちょっと違うかもしれない。ダークな場所を見に行こう、というのが日本では難しい気もするけど、私みたいに楽しいツアーにダークなものを持ち込むのはもっと「興ざめ」感が強くて、もっとダメかも。

でも見たいんだよね。光があれば影があるので、私は両方見たい。明るいはずの場所で感じられる哀しみがあれば、その土地の悲しい記憶もたどりたくなる。できることなら、そういう複雑で美しい気持ちをほかの人たちにも感じてほしいと思う。だから、ダークも含むツーリズムのことがもっと知りたい。

この著者のダーク・ツーリズムの写真集もあるらしいので、そっちも見てみたいと思います。

September 28, 2019

齊藤成人「最高の空港の歩き方」469冊目

旅行が好きで、年がら年中空港にも行く私ですが、今まではあまり空港内の設備には気を留めないことが多かった。観光大好きで、少しでも空港滞在時間を短くしようとしてたから。それでも、遅延や乗り継ぎでどうしても長く滞在することがある。先日、台風で函館行きをキャンセルしてとどまった札幌で、外を歩こうにも雨がひどくなってきたので、出発の6時間前に新千歳空港に行ったら、さらに2時間遅延したので、つごう8時間も滞在したんだけど、まったく退屈しなかった。むしろ、もっと時間があればよかったのに・・・というくらい、あまりの充実ぶりに心底驚くという経験をして、改めて空港の楽しさを痛感しました。で、おもむろに興味が出てこの本も調達してみたという次第。

新千歳空港には、ちなみに、温泉(休憩室や宿泊室まである)や映画館があるし、ロイズやサンリオのミュージアムもあるし、ラーメン博物館まである。搭乗ゲートにもフードコートがあって、白い恋人ソフトクリームだって食べられます。

そのていどの興味の出てきた人にぴったりの、空港学?入門書として相当よくできた本です。新千歳みたいな空港のエンタメ化の背景や、空港の仕組み、成り立ち、空港で働く人たち、日本や世界の素晴らしい空港の話など、マニアではない一般人にも興味深く楽しく読める本です。

もっともっと知りたい気もするけど、本を読むより、私はやっぱりあちこちの空港に自分で行ってみたいな。そしてこれからは、もう少し長めに滞在して、もっといろんなものを見たり経験したりしてみよう、と思うのでした。

旅行好きな人ならぜひ一度読んでみてほしい、良書でした!

September 06, 2019

角田陽子「名門ホテルコンシェルジュの心をつかむ上品な気配り」468冊目

「おもてなし」って、いろいろだなと考えさせられました。優しくあたたかく迎えること、というのはとても大切なおもてなし。コンシェルジュというお仕事は、さらに、夢を叶える、日本での滞在を忘れられないレベルに引き上げる、というハードルの高いミッションなんだなと思います。仕事というものを、画一的にすることで効率を上げるべきと考えるとこういうお仕事はありえないけど、一生は一度だけ、一瞬一瞬を大切に生きようと思う人にはすごく大切なこと。私は仕事として、ビジネスとして、人を幸せにすることに携わっていけたらなと、改めて思いました。

数々のエピソードを読むうちに、著者の心構えに近づいていけそうな本でした。

August 19, 2019

照井邦子「恋するように生きなさい」465冊目

面白かった。

波乱万丈、というのはこんな人生のことを言うのかな、と思います。

ご自身の意思を強く持ってもいるけど、周囲の人の紹介や勧めで大きく運命が動いていく。おおむねそれは助けになっていて、びっくりするくらいの結果をもたらすけど、たおれるときも一緒。この方は写真を見るだけで、明るく温かい魅力的な人柄が伝わってくるし、周囲のたくさんの人たちにいかに愛されてきたかもわかります。周囲の強い人たちや時代の運命に巻き込まれていくのも、そういう魅力をもった人たちの運命といえるのかもしれません。

朝の連続テレビ小説の題材にしたら、きっと見ごたえがあるだろうなぁ。主演は、そろそろ二階堂ふみとかどうかしら・・・。

照井邦子「恋するように生きなさい」

面白かった。

波乱万丈、というのはこんな人生のことを言うのかな、と思います。

ご自身の意思を強く持ってもいるけど、周囲の人の紹介や勧めで大きく運命が動いていく。おおむねそれは助けになっていて、びっくりするくらいの結果をもたらすけど、たおれるときも一緒。この方は写真を見るだけで、明るく温かい魅力的な人柄が伝わってくるし、周囲のたくさんの人たちにいかに愛されてきたかもわかります。周囲の強い人たちや時代の運命に巻き込まれていくのも、そういう魅力をもった人たちの運命といえるのかもしれません。

朝の連続テレビ小説の題材にしたら、きっと見ごたえがあるだろうなぁ。主演は、そろそろ二階堂ふみとかどうかしら・・・。

June 06, 2019

ジム・ロジャーズ「冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見」459冊目

面白い!
この本を20歳で読んでたら人生変わったかも?
いや、若いころは臆病で貧乏で病弱だったから、別世界のおはなしだと思っただろうな。
定年が見えてきて、この先の“余生”に思いをはせる年齢になったから初めて、この本の面白さが実感できるのかもしれません。

ジム・ロジャーズという人は「世界三大投資家」と言われているそうで、そういえば私も近著を読んだことがあったんだけど、この本を読むかぎり前人未到の地を旅するフロンティアで冒険家です。紛争地帯だろうが、地元の人もおそれをなすような国境越えだろうが、人懐こい笑顔とコミュ力(っていうのか?)と財力ですべて乗り切っていきます。乗り切っていけてなかったら今この世にはいません!
投資を「下がり切っているところに投資して、持ち続ける」というポリシーで行う上で、戦争が終わったばかりの国は何よりも関心のある場所。だからって行くか!

彼の素敵なところは、悲惨な戦場に刺激を求めて行ったり、自分を地元の人たちより上に見て助けに行ったりしないところ。そういう人たちのパワーも世の中には必要だけど、ただ歩いて地球のどこまでも行くフラットな感覚がすごく好きです。というか、自分の感覚と同じですごく共感します。この人と私、誕生日が同じなんだけど、関係あるかしら?(笑)

投資といっても現地に出向いて口座を開くなんてことまで私には到底できないけど、できるものなら・・・。
この間行ったカンボジアで地元の人たちの勤勉さや誠実さを見て、絶対ここには大きな未来があると実感しました。あの人たちの事業に投資できるものならしたいです。・・・そういうことですよね、多分。

違う部分があるとすれば、当然なんだけど、彼の軸はすごくアメリカ的で、為替も含めた金銭的価値を見積もることが最大の関心だということ。どういうことかというと、インドのハイウェイでバイクや自転車や牛やラクダが一緒に走っているのを見て、私は手をたたいて大喜びし、彼はこの国に投資してもダメだとがっかりするということ。
私は投資にも興味があるけど、それよりもっと、知らないものに出会えること、自分が楽しむことのほうを重く感じてるってことですね。(だからお金持ちになれないのか!)

いろんな違いがあるのも、いいんです。だから面白いんです。
あとどれくらい旅行できるだろう。あとどれくらい、ドキドキワクワクできるかな。
そんな気持ちになれる本ってすごい。

April 05, 2019

さだまさしと愉快な仲間たち「うらさだ」450冊目

すごく面白かったし、さだまさしのことを私はずっとあなどっていたなぁと認めざるを得ない気持ちなんだけど、看板に偽りあり!

だってさだまさし自身は、一行も書いてないんだもん。

さだまさしを愛する、あるいは崇拝する、あるいは果てしない友情を注ぐヤケに旬な男たち女たちが、語る語る。

高見沢俊彦はわかる。泉谷しげるも、今ならわかる。でも小林幸子、ホリエモン、カズレーザー、若旦那(湘南乃風)というのは、”一周回って戻ってきた”のかなという印象。

泉谷しげるに、カッコばっかり突っ張ったロッカーなんかよりずっとパンクだロックだ、なんて言われるのは最高の栄誉だと思います。本当にそうで、黙って自分の信じることをやり続けるほど根性があってカッコいいことはありません。

生さだ見なきゃ!!と強く思わされた一冊でした。

というか、これからも私は彼の音楽には五感的にはあまり興味ないと思うけど、ますます尊敬してるよ。

February 20, 2019

河本真「働かない働き方」449冊目

飛行機に長時間乗るとき、だんだん腰がつらくなってきたので、できればビジネスクラス乗りたいなぁ、安く乗るにはマイルの上級会員にならなきゃ!と思い立ったのが今年のお正月。ネットで調べるといろんな情報があって、試しにマイル塾というのに申し込んでいろいろ辿っていったら、この本の著者にたどり着きました。マイル塾だけじゃなくて、潜在能力を最大限にしてハッピーになろう!など、彼が研究してきたことも、有料のも無料のもたくさん発信しています。この人、なかなかいいこと言うんですよ。


 


私は親のことで長年、根深いトラウマを背負い続けてきたところがあって、ここ数年で瞑想や”看取り直し”をやってから、やっとふつうに自分を肯定できるようになった気がします。アプローチは色々なんだけど、誰かに言われてその通りにするとか、人が決めたルールを守るんじゃなくて、自分の中に何があるかをちゃんと感じる。感じられるくらい、余裕をまず持つ。そうやって、みんながちゃんと幸せになろうとし始めてる。そういうことを、世界中の人たちがそれぞれの方法で実現しようとしているのが、今の時代だという気がしています。


 


河本氏が説く仕事のしかたは共感するところが大きくて、「まさにその通り!」なんだけど、「やらない」と書かれてることを、たぶん相当やってるんじゃないかな私は。本当はここまでで十分ってわかってるのに、「お付き合い」でやってしまう。完全にやめるためには、飢え死にしないくらいの生活費を確保しないとかな・・・とか思ってばかりいないで、自分のありたい姿をちゃんと決めて、そこに向かい始めないとね。歳をとってくると、ますます臆病になってしまうのかもしれないけど、たぶんこの著者のお母さんだって、彼から何かを感じとって変わりつつあるんじゃないだろうか?


 


自分の親くらいの人たちと、おしゃべりカフェでお話しするのは本当に楽しいし、猫とも子どもとも真剣に遊んでしまう。もともと私には(他の誰にも)垣根なんてないんだから、自分の心の中に「こっち!」って声が聞こえる方に向かっていけばいいんじゃないかな、と思います。(と、自分に言ってる)


February 07, 2019

パラダイス山元「パラダイス山元の飛行機の乗り方」448冊目

あー面白かった。
マイルを貯めるために沖縄とシンガポールとニューヨークを往復するのが賢いわけでもないけど、乗るのが楽しいから一日11回も国内線に乗り続けるのはお馬鹿さんというしかありません。でなければ子ども。
でもパラダイス山元さんって、センスがよくてちょっとスカしてて賢そうなので、バカなんて言うと「バカというあなたこそがおバカです」と無言の鼻で言われてしまいそうな。笑っていいんですか?できれば笑わせていただきたいのですが・・


 


「大人買い」とかというのはこういう人たちが作った言葉じゃないのかしら。子どもの時に死ぬほどやりたかったことが、大人になるとなんでもできるんだぞー、と。私も飛行機がわりと好きだということに最近気づいたんだけど、11回どころか一往復で十分。マイルは貯めてみたいけど、観光をはしょることはありえません。最低でも、「あの店のあれを食べてくる」程度のタッチ&ゴーは必須。


 


本を出そうという出版社が現れるほどの趣味をいくつも持ってるなんて、本当にすごいわ。私は何もかも中途半端だわ。というかこんなに凝ってもいいなんて思ってなかった。好きなことやっていいのね、大人は。
なんとなく叱咤された気になって、もっと遊ぼうと強く決意を固めた私でした。


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