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November 2019

November 23, 2019

ビル・クリントン&ジェイムズ・パターソン「大統領失踪 上・下」479-480冊目

センセーショナルなタイトルですよね。みんながよく知ってるビル・クリントン元大統領が「書いた」小説ってことで。


実際読んでみたら、すごく読みやすく楽しめる、大衆サスペンス小説という感じで、これは明らかにジェイムズ・パターソンというベストセラー作家(日本ではそんなに知られてないと思う)の文章に違いない。元大統領はおそらく、自分が大統領経験を通じて(自分が今失踪したら・・・)(もし腹心に裏切られることがあったら・・・)など思っていたことをアイデアとして出したのでしょう。迫真のリアリティはそれによるものだと思います。


という鉄壁のコンビが書いた本なのでとても面白かったのですが、そこここに、クリントン氏の思いもこめられていると感じます。小説内の大統領は彼と違って元軍人で、戦地ではヘリコプターから墜落したあとに拷問を生き抜いたというタフな経験があったり、判断に迷うことがなかったり、しめくくりには熱い演説を行って支持率が30%から80%にアップしたりします。こんな大統領がいたらいい、と思うのは著者たちだけじゃないでしょうけどね。


同じサイバー攻撃を日本で受けたら、たぶん正しいエキスパートを集めるのも対処するのも、難しいんじゃないかな・・・。すごいエンジニアは結構いると思うけど、日本は多国籍の人たちと普通のように本気でコラボすることに慣れてなさすぎる。あと二世代くらい経てみたら、できるようになるかな・・・。



November 19, 2019

色川大吉「わたしの世界辺境周遊記〜フーテン老人ふたたび〜」478冊目

図書館で見かけて思わず借りたんだけど、このフーテン老人さんの本業は近代史の教授だったんだそうだ。Wikipediaや著書のタイトルを見ても、長年社会運動に参加、というより旗を振ってど真ん中で活動してきたようです。まだ日本からのツアーなど一つも出ていない頃のウズベキスタンやブータン、ラダックやカシミール地方にも、定年退職したあとにどんどん出かけていく。とても面白い人で、文章も読み応えがあるんだけど、自己主張が強くて編集者の言うことも聞かない(と、「はじめに」に自分で書いている)無頼っぷり、昭和というより明治の男を感じさせる気骨。Politically correctで気の抜けたような文章を読みつけた私の目には、少し刺激が強いというか。。。

でもこういう生き方には憧れるんですよ。私も、先のこともこれからの収入もわからないのに、会社を辞めて世界を飛び回る生活を始めようとしている。とんだ馬鹿野郎だけど、元来そういう性根だった自分を思い出したくなったのです。

ある部分では師と仰ぎ、別の部分では反面教師として、これからの行く末を見ていたいと思います。この前の旅行記も読んでみよう。

 

November 09, 2019

大槻奈那・松川忠「本当にわかる債券と金利」477冊目

金融のことを勉強するようになって数年。債券って国債以外ほとんど未知の世界で訳が分からないので、借りて読んでみました。

難しい・・・ひとことで言うと難しい。というか、なんで難しいかというと、具体的に債券(新規発売する国債や地方債以外)を売ってるところを見る機会がないから難しく感じるのかもしれません。クーポンとか実質利率とか、複雑なのは確かだけど、株みたいに売ってるのをたくさん見られれば、少しはイメージがつかめるかもしれないけど、オンライン証券のサイトには、全部で10個も載ってない。全部、初心者が手を出すべきではない「BBB」の「劣後債」とかだったり。海外の情報サイトを見ても、見方がわからない。

そういう人は背伸びしないで、「債券中心に運用」っていう投資信託を買えばいいんだよな、きっと。