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June 2019

June 23, 2019

デービッド・アトキンソン「日本人の勝算 大変革時代の生存戦略」464冊目

この人の本は何冊か面白く読んでいるので、最新の意見を聞いてみたいと思って読んでみました。

最低賃金を上げるというのは、実現できれば素晴らしい。ただ、その判断ができるのが、最低賃金を決められる官公庁の人たちだったり、企業トップだったりするという事情から、変わるのは相当難しいだろうなぁと思う。今までずっと、かしこい判断ができずに現状をもたらした人たちが、どうすれば考えを改めるのかな?

あと、生産性というと、昔は相対的に若い社員たちがガンガン付加価値をたくさん生み出す仕事に邁進してたけど、今は給料と年齢が高い社員や役員たちが、ほとんど付加価値を生み出さない”仕事”をしてる。彼らは、自分たちも若い頃は死ぬほど働いてたから、もう楽してもいいと思ってる。それは事実だと思うけど、ガンガン働く若い人たちはもうあまり入ってこない。歳をとっていて付加価値を生み出さない人たちは、楽してお金をたくさんもらうのが普通だと思ってる(自分たちの若い頃も大先輩はそうだった)ので、反省などする気はない。

だから私はあまり楽観的にはなれないです。時給の安い仕事をしている若い人たちは、うんとお金のお勉強をして、外国の口座でも保険でも仮想通貨でもなんでもやって、別のところでがっちり儲けるといい。年取って勉強しない人たちより、自分たちにふさわしい報酬を勝ち取ってほしい、と思います。

本当に、どうするのが一番いいんでしょうね。極端な贅沢を減らすことも、生きていけないような貧乏も、せめて努力で変えられるといいのに。

June 19, 2019

ジム・ロジャーズ「大投資家ジム・ロジャーズ世界を行く」463冊目

すごく面白かった。「冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見 」の方がいわば続編。あっちが大型車で命の危険が少ないのに対して、こっちはまだ黒髪のジムが大型バイクで酷暑や極寒、砂漠や湿地、世界中を回ります。全く命知らずな!

1980年代の世界は、ロシアがまだソビエト連邦(崩壊寸前)だったりする。定点観測が重要だとよく言いますが、この本と続編を持って実地で外国に出かけるだけで、30年分のその国の経済誌がたどれます。

面白いしかなり共感するけど、私にはこんな過酷な旅は、国内でもムリ・・・。でも、実態を自分の目で見て投資するのは、やってみたいです。本当のことを、世界中のことを、知りたいという気持ちを抑えるのは難しい。私がどこまでジム・ロジャーズに近づけるのか、目指してみたいです。

June 12, 2019

芦沢央「火のないところに煙は」462冊目

どこかで書評を見て、面白そう〜、怖そう〜、と思って借りた。

面白かったし怖かったけど、ちょっと脈絡をつけようとしすぎてる気がしました。「リング」「らせん」・・・一連のあのシリーズみたいに、どんどんルール変更が行われていく中で、あとの方の巻で最初の方の巻の辻褄が合わなくなった部分の説明がどんどん長くなる・・・というのが、ちょっぴりめんどくさくなってくる。読者ってものは、うまいこと騙してくれれば、論理の辻褄が合わなくても怒らないもんよ。

しかしこの、霊能者、たたり、といった横溝的戦前的世界を、なんの違和感もなく平成〜怜和の時代に登場させているのは、なかなかの語り部っぷりです。説明がつきづらい部分は筆者の迷いとして書かれているのもうまい。

「たまに読むならこんなミステリー」ですね。読みなれた人も、普段読まない人も、楽しめる、怖がれる一冊ですよ。

June 10, 2019

ティモシー・フェリス「週4時間だけ働く」461冊目

この本が、その後の日本の一部の人たちの仕事観を根本的に変えた・・・と聞いて、さっそく図書館で借りて読んでみました。
この著者は、すごく現実派、実践派なんですね。自分でやってみたことしか信じない。この考え方を貫くのは、周囲とのあつれきがすごかっただろうし、乗り越えられて今があるのは本当にすごいです。なんとなくとか、上司や信用できそうな人たちが言ってるからとかでなく、工夫したら改善できると思ったら、やる。そして誰も傷つけない。みんながそういう生き方をすればいいのに・・・。週4時間は無理でも週3日とか・・・毎日午前中だけとか・・・
私ももっと自由な時間が欲しいです。自由な時間に怠けるんじゃなくて、ちゃんと身体を鍛えたり、ボランティアに打ち込んだりしてみたい。
「お金を稼ぐ方法」はいろいろあるけど、「自分が一番時間をかけてやりたいこと」とそれがイコールとは限らない。それぞれの人が、自分に一番合ったやり方を見つけるのは難しいと思うけど、見つけられたらベストなんじゃないだろうか。かなり具体的に、秘書業務のアウトソーシング方法なども書いているのですが、全部英語での対応なので、これを日本版で探してみると面白そう。人にものを頼むのは得意なほうじゃないけど、役割分担は必要。うまくアウトソースできる人間にならなければ!

June 06, 2019

船ヶ山晢「お金と自由をもたらす最速の稼ぎ方」460冊目

最近こういう本読むこと多いな。普通なら読まないタイプの本だったけど、読んでみたら至極真っ当だった。

製造業が「顧客志向」の大切さに気づいたのはもうだいぶ前のことだけど、これは例えば「すでに顧客を持っているライバルのところに行って、協力することで顧客を掴む」とか、誰も敵に回さずにちゃんと確かな見込み顧客に出会う方法まで説いています。ちょっと斜め上を行ってる感じ。

例に挙げてるのがスペイン語教室というのがまた良いです。私はキューバやスペインが好きだし、南米に行って見たいと思ってるけど、スペイン語が全くできないので、自分の人生の中からスペイン語を諦めてました。もし本当に話せるようになったら・・・と思うと、それだけでちょっと心が動きますね。

ゴールはお金なのかな?お金がたくさんあれば、たくさん寄付もできるし、働くのを辞めてボランティアの日々を送ることもできる。つまり自由だ。私はフルタイムで働くのがキツイと思い始めているので、オフィスにべったりいなくても鍼灸院に行くお金が稼げたらいいな・・・と思う。お金は大切です。

お金を払ってくれた人たちのために心底一生懸命尽くすこと。払ったら終わり、とお客さんをポイ捨てするんじゃなければ、大事なお金をあげてもいいと思えるかもしれない。・・・お金ってものの不思議な性質が、前より少しわかりかけてきた気がします。

ジム・ロジャーズ「冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見」459冊目

面白い!
この本を20歳で読んでたら人生変わったかも?
いや、若いころは臆病で貧乏で病弱だったから、別世界のおはなしだと思っただろうな。
定年が見えてきて、この先の“余生”に思いをはせる年齢になったから初めて、この本の面白さが実感できるのかもしれません。

ジム・ロジャーズという人は「世界三大投資家」と言われているそうで、そういえば私も近著を読んだことがあったんだけど、この本を読むかぎり前人未到の地を旅するフロンティアで冒険家です。紛争地帯だろうが、地元の人もおそれをなすような国境越えだろうが、人懐こい笑顔とコミュ力(っていうのか?)と財力ですべて乗り切っていきます。乗り切っていけてなかったら今この世にはいません!
投資を「下がり切っているところに投資して、持ち続ける」というポリシーで行う上で、戦争が終わったばかりの国は何よりも関心のある場所。だからって行くか!

彼の素敵なところは、悲惨な戦場に刺激を求めて行ったり、自分を地元の人たちより上に見て助けに行ったりしないところ。そういう人たちのパワーも世の中には必要だけど、ただ歩いて地球のどこまでも行くフラットな感覚がすごく好きです。というか、自分の感覚と同じですごく共感します。この人と私、誕生日が同じなんだけど、関係あるかしら?(笑)

投資といっても現地に出向いて口座を開くなんてことまで私には到底できないけど、できるものなら・・・。
この間行ったカンボジアで地元の人たちの勤勉さや誠実さを見て、絶対ここには大きな未来があると実感しました。あの人たちの事業に投資できるものならしたいです。・・・そういうことですよね、多分。

違う部分があるとすれば、当然なんだけど、彼の軸はすごくアメリカ的で、為替も含めた金銭的価値を見積もることが最大の関心だということ。どういうことかというと、インドのハイウェイでバイクや自転車や牛やラクダが一緒に走っているのを見て、私は手をたたいて大喜びし、彼はこの国に投資してもダメだとがっかりするということ。
私は投資にも興味があるけど、それよりもっと、知らないものに出会えること、自分が楽しむことのほうを重く感じてるってことですね。(だからお金持ちになれないのか!)

いろんな違いがあるのも、いいんです。だから面白いんです。
あとどれくらい旅行できるだろう。あとどれくらい、ドキドキワクワクできるかな。
そんな気持ちになれる本ってすごい。