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December 12, 2018

村田喜代子「八幡炎炎記」「火環」442-443冊目

敬愛するレジェンド村田喜代子の新作。自伝とまでは言わないけど、鉄鋼の町での自分の生い立ちをモチーフにした小説です。
ヒナ子は「ツクシみたいな女の子」。優しいけど子どもの気持ちはあんまりわからないおじいちゃん・おばあちゃんに娘として可愛がられて育ち、まじめじゃない大人たちの中で、素直だけど実は頑固な個性を育んで行きます。

軽妙でカラッとして無駄がない。彼女の憧れた映画監督が新藤兼人(裸の島とかの頃ね)というのが興味深いですね。彼女の小説の人間表現のしかた、文章の完結さとかが、白黒のドラマからきていると思うと、不思議なようで納得します。

この小説のなかでは、ガンになるのはミツ江だけど、著者自身が闘病してきたのも事実らしいです。小説家は転んでもタダでは起きない。自分の死について書けない(あるいは、書いても生きてる人たちに見せられない?)ことをきっと悔やむんだろうなぁ、彼女は。

私の敬愛する二大作家は偶然二人ともずーっと九州在住で、若い頃はふっとどこかに飛んで行ってしまう小説が多かった(それがまた素晴らしかった)けど、最近は二人とも、小説の中で、町から出ていきません。体がここにあっても心は自由だという領域に達したんでしょうかね。私も何か文章で人の心を動かすことができたらいいな、という思いを頭のどこかに抱きつつ・・・またもう一冊読みます。

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