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November 2018

November 29, 2018

新井紀子「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」441冊目

著者のTEDトークを見たとき、物怖じせずまっすぐに信じることを伝えようとする人だなー、と思いました。それが当然、それが普通といったふうで、まさか”偉い先生”とは思えない感じ。
先週友人に誘われて、彼女を中心としたセミナーに参加したんだけど、TEDトークよりもさらに、小学生のあしらい方なんて手慣れた先生みたいで、あまりに普通で笑ってしまいました。


 


子どもみたいにまっすぐで、譲らない。面白いことは面白い。間違っていることは間違っている。
そういう態度でずっと心と知性の赴くままに研究を深めてきたんだなぁ。
そんな彼女の書く文章は、曖昧なところがなくて明快。この本を読んで、自分自身の能力に不安や疑問を感じない人っていないと思う。私もRSTテスト受けてみたいなー。
私はずっと暗記が苦手だったけど抜き打ちテストは得意で、TOEICでも共通一次でも選択問題なら答を知らなくても設問の仕方から正解を考えて点を取れてたので、読解力だけの女だったんじゃないかという気がしています。これで記憶力がよければ国立大学に行けたのかもしれないけど・・・
小さい頃、本を読むのは好きだけど得意ではなかった。読むより書くことが好きで、日記はともかく手紙も長く書きすぎて嫌がられてたな。


 


新井先生は「読めない」のは能力だとしているけど、本当は一時的な集中力が結果に現れてるんじゃないかという気もする。頭を使うのって疲れるんだ。何も考えないで、ただボーッと問題を読んで、適当な答を書くのって、楽々でいい。そんな頭の使い方しかしない人たちでも、人当たりがよくて立ち回りが上手ければ、ちゃんと企業の偉い人になったりできる。そのほうがいいと思う人にはそういう人生がある。私は「知りたい」という好奇心が強いから、いつも頭が痛くなるくらい頭を使って、楽な生き方をしている人たちのことも助ける。


 


・・・なんで愚痴ってるんでしょうね、私(笑)


 


あと、日本の子どもたちの学力が落ちてきてるなら、外国からどんどん、否応無しに優秀な人たちが入ってきて活躍するんじゃないかと思う。教科書が読めないけど既得権益を守ろうとする日本人が、優秀な彼らをこき使いながらいじめるんだろうな・・・。ロボットよりもそっちの方が喫緊ではないかと思う。
ちょっと前にアメリカみたいに、外から来た人たちがどんどんこの国をよくしてくれたらいいのに、と思います。


November 15, 2018

柚木麻子「終点のあの子」440冊目

この人の作品を読むのは初めて。
同じ学校の女子たちを、それぞれ別の子を主人公にたてて描いた4つの短編集。
冒頭の「フォーゲットミー、ノットブルー」は、やっかみが高じてイジメに至るイヤ〜な世界。ミステリーのない「イヤミス」みたいな。その後の3編はもう少しマイルドなんだけど、最近こういう、人間のなかのあらゆる感情のうちネガテイブな部分に注目した作品が多いな・・・。裏と表がはっきり分かれていって、普段は誰も表しか見せない世界になってしまったから、裏を書いた作品を読みたくなるんだろうか。


こういう本はあんまり読みたくないな、私は。


November 14, 2018

トーマス・フリードマン「フラット化する世界」上下438-9冊目

10年も前のビジネス書なんだけど、著者の講演を聞く機会があったので読んでみようと思いました。なかなか面白く、読み応えがありましたよ。一昔前なんだけど、もうiPhoneはあるし911の後だし、大方の現在を形作る物事は出揃っている気もします。彼はその後「遅刻してくれてありがとう」という本を書いていて、そっちでは2007年に同時多発的にアメリカのあちこちで起こっていたビジネスや発明の萌芽を振り返ったり、「グローバル化」がもたらした不公平の気づきがその後、混沌とした世界から秩序ある世界への人々の移動を促したことなどに触れています。
「フラット化」を読み終えて今「遅刻」を読み始めてるんだけど、講演で感銘を受けたほど本ではまだ感動してないな・・・。


 


それにしてもフリードマン氏はお話が上手でした。まるでマイクロソフトのエグゼクティブみたいに比喩や象徴的な話し方がうまくて、ピューリッツァー賞を3回も受賞したバリバリの戦場ジャーナリストとは、とても思えない!アメリカのこういう層の厚さを見せつけられると、ほんと敵に回したくないと思う・・・。
でも、日本の会社に転職して久しいので、