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April 2018

April 22, 2018

恩田陸「終わりなき夜に生まれつく」424冊目

ファンタジー小説というべきかな?
「在色者」、”色”という特殊能力をもつ若い青年たちのエピソードを集めた短編集。
恩田陸の作品は、純文学に近いものしか読んだことがなかったので、こういうファンタジー的なものはちょっと意外だけど、前のめりで登場人物たちに入り込んでグイグイ書いていることが伝わってきます。彼女の元々のスタイルがこれなのかもね。(女子大の英文科を出てまあまあバリバリ働いてる私たちが、再会して話すとやっぱりオタク的に文学作品を読みふけっていた過去が見え隠れする、というようなもので)


 


人物たちのキャラが実によく立っていて、続きが読みたいな〜〜と思ってたら、人気作品の「前日譚」なんですね。ですよね〜〜〜。あわててその「夜の底は柔らかな幻」の方も読むことにしました。こっちはすぐに借りられました。


April 13, 2018

島田雅彦「深読み日本文学」423冊目

先日NHK文化センターで講義を受けて感動した島田雅彦が、日本文学を存分に語った1冊。
200+ページの新書なのですぐに読めます。語り口が目の前で話してるようで読みやすい。
そして偏っている。講義と同じだ。偏愛日本文学。文学もだけど政治に関しては一言も二言もあって、時間がいくらあっても足りません。


 


中でも最高だったのは「谷崎潤一郎作品を読むために重要な5つのポイント」。あまりに面白いので3つほど引用させてください:
第一に根っからのスケべであってほしい。(「・・・下ネタにかまける人を軽蔑するタイプの人・・・は谷崎には手を出さず、漱石を読むべきです。」)第二に悩める知識人であってはならない。第三に常に何かを崇拝し続けること。などなど。
この本で、愛猫を剥製にしたのは谷崎くらいだろうと書いてあるのを読んで、一瞬私もやろうかと思ってしまったけど、多分恐ろしい、似ても似つかないものになって眠れなくなりそうなのでやめておきます。