佐藤正午「書くインタビュー」(1〜3)403~405冊目
愛読している佐藤正午が、メールで若い女性ライターからの質問に答えるというか、書簡集を出しているらしいと知ったので、早速買って読みました。
文章教室みたいだ。
1,2があると知らず3から読み始めてしまって、佐藤正午は若いライターに怒ってばかりのひどい老作家だな!30年近く読み続けてるのに、初めてがっかりしたわ!と思ったのですが、1,2を取り寄せて読み始めたら、すぐに作家側にシンパシーを感じ始めました。最初のインタビュアーはクセが強くて、他人から何かを聞き出すというより自分を出すタイプのライターで、この企画とは大変なミスマッチなのです。3での長文どうしのやり取りは、いつもちっとも面白
くない佐藤正午のユーモアや、ライター側のくどいくらいのサービス精神によるものだと、1,2を経てわかってきました。「正午さん」はライターさんにひんぱんに面倒だの長いだのと文句を言いますが、彼から愚痴を引き出したり、ときどき感心させたりできるのは大したものです。ツボとしては、重箱の隅をつつくけれど全体的には割合大雑把な作家なので、喜びそうなところをツンツンしていればみんなハッピーなのかな、と思ったりもします。
彼の小説に出てくる競馬好きの男は、ちっとも神経質には見えず、せつな的なギャンブルに熱くなる"その日暮らし"の人のようだったので、大変な名文家だとわかっていても作家自身もわりと大雑把な人なのだと思ってました。推敲に推敲を重ねるような人にそんな人はいないのかもですね。
それにしても、作家もインタビュアーも、二人ともくどいよ!(嬉しそうに)
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