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June 2017

June 17, 2017

柴門ふみ「そうだ、やっぱり愛なんだ」399冊目

漫画家の柴門ふみが、長年雑誌などに書いてきたエッセイを集めた本。
先日たまたま、彼女の夫である島耕作、じゃなくて弘兼憲史のトークイベントに参加したら、これが抱腹絶倒の面白さで、妻はどんな人なんだろうと興味が湧いてきました。


当たり前なんだけど、家庭人としての暮らしは、それぞれ個性はもちろん感じられるんだけど、何か特別な訳ではなく、まったりと子供たちと言い争ったりしながら生活してきたんだなぁという感じです。


何かすごく訴えたいものがあって書いてるって訳ではなく、日々の徒然を書き留めたものなので、さらっと読んでしまいましたが、なんとなくいい感じでした。


June 01, 2017

鏑木蓮「京都西陣シェアハウス」398冊目

小説だったー。
この3日間でシェアハウスに関する本を6冊も読んだんだけど、キーワード検索だけで借りたら小説も何冊か混じってたw
でもこれが実に面白く深かった。読んでる間はちょっとギスギスした感じなのに、読み終わると清々しい。とても不思議な小説です。


京都の町屋づくりの工房を改装したシェアハウスに、年齢も仕事もバラバラの人たちが住んでいる。中でも就職がいつまでたっても決まらない女子大生 有村志穂は風変わりだ。実家との関係や生きることに悩んでカウンセリングに通ったことのある彼女は、どこか妙な影があり、人を見る目が鋭い。以前小さな子供を事故で死なせてしまった男性、不倫や不正に悩んでいる女性、昔傷つけた人のことを悔いている男性。それぞれの荷物はかなりの重さだけど、誰にでも不運が重なったら落ちてきそうな話で、彼らの恐怖が身につまされます。志穂はそういう彼らの心の固まった部分を、一見不躾に見えるやり方でまっすぐまっすぐ掘り進めていく。


痛いマッサージが効くこともある、って感じかしら。
読み終わった時の清々しさは、悪い奴らの方に感情移入してしまっていて、解放されたような気がするからかな。
人の罪悪感ってものをかなり深く描いた、良い小説でしたよ。