鏑木蓮「京都西陣シェアハウス」398冊目
小説だったー。
この3日間でシェアハウスに関する本を6冊も読んだんだけど、キーワード検索だけで借りたら小説も何冊か混じってたw
でもこれが実に面白く深かった。読んでる間はちょっとギスギスした感じなのに、読み終わると清々しい。とても不思議な小説です。
京都の町屋づくりの工房を改装したシェアハウスに、年齢も仕事もバラバラの人たちが住んでいる。中でも就職がいつまでたっても決まらない女子大生 有村志穂は風変わりだ。実家との関係や生きることに悩んでカウンセリングに通ったことのある彼女は、どこか妙な影があり、人を見る目が鋭い。以前小さな子供を事故で死なせてしまった男性、不倫や不正に悩んでいる女性、昔傷つけた人のことを悔いている男性。それぞれの荷物はかなりの重さだけど、誰にでも不運が重なったら落ちてきそうな話で、彼らの恐怖が身につまされます。志穂はそういう彼らの心の固まった部分を、一見不躾に見えるやり方でまっすぐまっすぐ掘り進めていく。
痛いマッサージが効くこともある、って感じかしら。
読み終わった時の清々しさは、悪い奴らの方に感情移入してしまっていて、解放されたような気がするからかな。
人の罪悪感ってものをかなり深く描いた、良い小説でしたよ。
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