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January 13, 2017

羽田圭介「成功者K」369冊目

20年ぶりくらいかも、文芸誌を買ってみたらこの長編がまるまる載ってました。
なにこの人、露出狂的私小説家?と思いながら読み進めていくうちに、いや違うな、できすぎてる、とうっすら気付くんだけど、面白いので乗せられたまま進んでいきましょう。

感想: 面白かったー。
「虚々実々」って感じ。ひょうひょうとしたあの雰囲気で、やたらと自慢げに、赤裸々に本音を語ってるような顔で小説を騙る。変な奴だ。
世間的な“成功者”としてのピークは、高層マンションと高級外車と女優とのデート、あたりなんだろうけど、転落の兆しと見えたものが実は現実で、気が付いたら元の狭いマンションの部屋からパークハイアットを見上げている。
女優の彼女もウソならテレビ出演もウソで、そもそも芥川賞なんて取らなかったんじゃないか。

「パークハイアットを見上げる部屋」ってのがなんともリアル、というのも私もそういう位置関係の部屋に住んでたことがあるので、西新宿の尖塔(パークハイアットのほかにも、都庁や代々木のドコモビル)を低層のアパートや戸建のごちゃごちゃした界隈から日々見上げる劣等感?のような気持ちが、よくわかる。

「コンビニ人間」とかもだけど、小説ってのはまず面白いのがいい。何よりそれがいい。どこか変なところに連れていってくれるのがいい。だからこの作家も良い作家なんだと思う、多分。

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