東野圭吾「犯人のいない殺人の夜」372冊目
うーむ、黒い。
目をそむけたくなる人間の暗部を晒す傑作選、ってかんじです。
この短編集に収録されている作品には、以前「東野圭吾ミステリー」みたいなタイトルの1話完結ドラマとして放送されたものがいくつもあります。たとえば冒頭の「小さな故意の物語」は、波瑠(朝ドラ主演前)と三浦春馬が主役で、すごく印象に残りました。小説の彼女は、ちょっと黒いものを心の中に隠していたけど、ドラマでは偏りのあまりない大人っぽい少女で、自分の一瞬の“故意”を背負ってひとりで生きて行く覚悟をしてた。波瑠のクールさと三浦春馬の純真さが際立って、とても切ない作品でした。原作を改変したとまではいえないこういう工夫で、原作のある作品の展開がさらに豊かになるんだな。
それはそれとして、この人の小説のこういう黒さは苦手。最近もそうなんだろうか。この本の収録作品は1980~90年代に書かれた昔のものばかりなので、店頭に平積みしてあるものも読んでみよう。
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