菅野完「日本会議の研究」356冊目
なんか鬼気迫る本でした。
私はこういう、隙のない仕事をする人って好きです。
世の中のビジネス本や啓蒙書には、少し調べた結果を自由自在にふくらませて、結局のところ自説を展開している、という本が多いといつも思います。面白ければ、趣味で読む分にはいいと思いますが、あいまいな根拠で第三者をおとしめたりするのは良くない。その点でこの本は、突っ込まれる隙を与えないために最大限の努力をしたことが感じられました。
そんな努力によって書かれた本の結論を、ここでさらっと書いてしまうのははばかられるので、サワリだけ書くと、安部内閣や彼らのバックにいるのは、とある宗教団体をベースにした学生運動からはじまり、その宗教の本流でないところで発展し、生き延びてきた人たちなのだそうです。信じるものがあって、実践し続ける努力をしてきた人たちは、強い。私は彼らの考えが間違ってると思うけど、私が正しいと思う人たちの団体で、そこまでの努力ができた人がいないから、今の日本の政治は現状のようになっているんだ、ということがよくわかりました。
ただ、自由を重んじる考えの人たちは、人を縛ることをよしとしないから、どうしても離散方向に向かいがちという気がします。私が支持したいのは、いろんな人たちがめいめい好きなように生きられる社会なんだけど、カタマリのようになって何十年もしぶとく活動することが、私たちはとても苦手なんだ。だから、信じる力が強い人たちと真っ向から戦って勝つのが難しい。
この本に書かれていることが、この先どうなっていくのか、とても気になります。調べてくれてありがとう、よくわかった、ではどうする?を考えて行動することが、読者に必要だと思うけど、まだまだ私にはわかりません。
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