ガブリエル・ガルシア=マルケス「誘拐」336冊目
面白かった!
手に汗握った!
これ実話なんですよ。コロンビアの大規模コカイン密輸業者のドンが、ジャーナリストを多数誘拐して、自分が逮捕されても家族や自分の安全を保証させるための司法取引を政府にもちかけます。実際に誘拐された人たちや家族、関係者へのインタビューを通して描く誘拐状況や監禁生活のようすが生々しい。長期の交流生活のなかで看守と被害者のあいだに不思議な友好関係が生まれていったり、司法取引という明文法的世界より"大岡裁き"に近い解決方法のために敵も味方もやっきになったりと、やけに犯罪が身近に感じられる不思議さがあります。
南米の熱い人間性と、この作家=ジャーナリストの緻密さが噛み合うと、ゾクゾクするような生が描かれます。すごく惹かれます、この世界。
ガブリエル・ガルシア=マルケス
« カレル・チャペック「絶対製造工場」335冊目 | Main | 三島由紀夫「獣の戯れ」337冊目 »
「本)全般・その他」カテゴリの記事
- 半藤一利・出口治明「世界史としての日本史」474冊目(2019.10.27)
- モーリー・ロバートソン「悪くあれ!~窒息ニッポン、自由に生きる思考法」471冊目(2019.10.13)
- 井出明「ダークツーリズム~哀しみの記憶を巡る旅~」470冊目(2019.10.09)
- 齊藤成人「最高の空港の歩き方」469冊目(2019.09.28)
- 角田陽子「名門ホテルコンシェルジュの心をつかむ上品な気配り」468冊目(2019.09.06)
The comments to this entry are closed.
Comments