ミシェル・スィコタ/フィリップ・ルイエ「ミヒャエル・ハネケの映画術」334冊目
映画をよく見るようになってから尊敬している、カンヌの最高賞2連覇の巨匠ミヒャエル・ハネケのインタビュー集。いったいどういう神の視点を持ってる人なんだろう?って思ってたので、興味津々でした。
この本はハネケの全映画作品についてひとつひとつインタビューを行った記録です。
インタビュアーは著者欄の二人の映画評論家、映画史研究者。きわめて深くこの監督作品を見ているし、それ以外の映画やフランス文化、歴史などの理解が深くて、それに比べると極東の私はほとんどイノセントな傍観者みたいなものです。インタビュアーがときに、監督に否定されることを覚悟しつつ、映画の解釈を試みると、案の定監督は「そういう見方もあるが、映画というのは観客それぞれが解釈するものだから」とくる。それにしては、演出スタイルはかなり細かく自分の理想をそのまま演じさせるもので、自由に演じることに慣れているアメリカの俳優などはかなり反発したらしいです。神の視点を持つ監督だから、鷹揚に構えて何でも笑って聞き流すかと思ったら、わりあい気難しい人かなと思いました。
・・・そこで思ったのは、めちゃくちゃ変わった映画を撮るアレハンドロ・ホドロフスキー監督と、話す感じが似てるなぁということ。かたやパルムドール連続2回、かたやカルトの帝王。二人ともアクが強くて万能感が強い印象です。ある意味二人とも、映画においては神。
この本で取り上げられてる映画は、日本では手に入らないものも多そうだけど、主要な映画作品はレンタルもしてるので、片っぱしから見てみようと思ってます。
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