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January 2016

January 24, 2016

羽田圭介「メタモルフォシス」329冊目

この1冊に収録された2編「メタモルフォシス」と「トーキョーの調教」は、タイトルはバラバラだけど対になっていて、サトウと名乗る二人の対照的な客たちの、SMクラブでのプレイと日常をそれぞれ語っています。


面白かった。
作家自身の露出がありすぎるので、何を読んでも、もはや主人公の両サトウが二人とも羽田圭介に見える。
羽田圭介が黒ビキニ姿で奴隷になって公園を散歩したり、マンションの中で実況中継をさせられている図に笑いが止まりませんでした。


とまで言うと悪趣味だけど、この人の作品は笑っていいんだ、と実感しました。
いろんなエクストリームな状況に登場人物を追い込んでみると、人間ってこんなに可笑しいんだ、というところが表出するんだよ。という実験的な執筆生活の延長に、作家自身がテレビに出てみることもあるんだろうな。いろんなことを知りたい、そのために突き詰めたい、という人となりが作家に向いているし、面白いと思います。


どう考えても「スクラップ・アンド・ビルド」よりこっちの方が面白いと思うんだけど、どうでしょう?


January 21, 2016

「意外なツボがひと目でわかる世界地図―政治、経済、宗教、紛争… 」328冊目

面白かった!
地域別に、宗教や産業、軍事関係などの対外的あるいは国内で重要な、それこそ“ツボ”というか肝になりそうな小ネタの集大成でした。


といわれても、出版社も困るだろう。この本を買ったのは2007年で、その後世界情勢はかなり変わってきてるから。
読むのにこんなに時間がかかったのは、世界史をいちども勉強したことがなく、世界中に自分で行った後にやっと納得しながら読み進められるようになったから。


2007年から今までどれくらい旅行したか…。アメリカ、イタリア、台湾、イギリス、アイルランド、スペイン、ドイツ、ベトナム、タイ、中国、インド、ニュージーランド、オーストラリア。現地ガイドに聞いたり、自分の目で見たりして実感したことが、この本には整理してたくさん載せられています。どの情報が重要で、どの情報を流していいか、その軽重が行ってみれば多分わかるけど、自宅でネットだけ見ていてはわからない。そういう意味でこの本は、それぞれの国のことをそれなりによく知っている、少なくとも一回くらいは調べ上げるか行くかしたことがある人たちが書いたんだろうな、と思います。


この本の最新版があればいいのに。中国のGDPはここで予想されている2016年より早く世界2位になってるし、オサマビンラディンはもうだいぶ前に死亡し、イスラミックステートというものが台頭してる。・・・この本自体は改定されてないようだけど、似たテーマの本はたくさんあって、どれも割合高評価を得ているようです。あと何冊か入手して、もうすこし世界全体を俯瞰できる目を持ちたいなぁと思います。


この本のいいところは、図は少ないけど1章がとても簡潔で読みやすいところ。TIMEやNEWSWEEKやFinancial Timesを普段から読んでいる人には簡単すぎると思うけど、私レベルにはとてもわかりやすかったし、行った国なら思い出しながら「そうそう」とうなづけました。次に読む本は、もう少し掘り下げたものでもいいかも。