« 小野正嗣「森のはずれで」324本目 | Main | デービッド・アトキンソン「イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る ~雇用400万人、GDP8パーセント成長へ の提言~」326冊目 »

December 13, 2015

小野正嗣「水死人の帰還」325冊目

この作家の一番初期の、学生時代のちょっととんがった短編などが収められています。
これは面白い。
どろっとしたイメージが渦のように回りながら混じり合っていく、というのがビジュアル的な印象。
押し込めていたエネルギーが、どっと放出されるています。

なんとなく、この人の描く「暗黒」の描写があまりぴんとこないんだ。
擬態語として「どろどろ」とか「ぐちゃぐちゃ」のような一般的なものがよく使われていて、いまひとつ感覚的というか音楽的・美術的じゃない。私は自分の母が、田舎のおばちゃんが笑う様子を「ヒーダラ、ヒーダラ」って言ってたのを感動をもって記憶していて、プロの人にはそれを超える表現をしてほしいと思っています。

平らだったところが「ぐちゃぐちゃ」になるというのは、どこがどうなっているということなんだろう。描くならもう少し詳しく書いてほしい。説明じゃなくて、感覚をそのまま伝えてほしい。

物足りないのは擬態語だけなのかな、どうなんだろう。いずれにしても、この作家は一番得意な部分(ワクワクさせるストーリーテリング?)をあえて避けたような文章が多い気がするので、どかーんとハッピーな大作を書いてほしいです。

<iframe style="width:120px;height:240px;" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" frameborder="0" src="//rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?lt1=_blank&bc1=000000&IS2=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=mametaro03-22&language=ja_JP&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=as_ss_li_til&asins=4163902759&linkId=df2467ba715596cbc349eba90333ca8a"></iframe>

« 小野正嗣「森のはずれで」324本目 | Main | デービッド・アトキンソン「イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る ~雇用400万人、GDP8パーセント成長へ の提言~」326冊目 »

本)文学、文芸全般」カテゴリの記事

Comments

The comments to this entry are closed.