小野正嗣「九年前の祈り」321冊目
ふーむ、こういうのを書く人なのか。
時間が行ったり来たりするし、ビジュアルがないとすぐには想像できないおばちゃんたちのバリエーション、主人公の個性の薄さ、などなど、簡単に入っていける仕組みになっていない小説です。そこの部分に手を加えて読みやすくしようとしない人なんだな。
でも、描写が深掘りしていくにつれて、ぐっとその彼ら彼女らの中身に入り込んでいって、さまざまな心の痛みを共感している。本当にね、ちっちゃくて優しいおばあちゃんに、愛欲の過去があったりするんだと思うよ、実際。こういう風に、一見地味な人たちを深くえぐるのが、九州の作家の特徴か?村田喜代子とか。。南国なのに割合くどい。(褒め言葉です)
しかし難解ではあった。私がバカだからかもしれないけど、おばちゃんたちおじちゃんたちの区別をつけながら読むのが難しい。映画でも見てみたいです。いちどでもビジュアルで見られると、その後の小説も読みやすくなるんだがな・・・。
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