魯迅「阿Q正伝」345冊目
なぜ今魯迅?…とくに理由はないんだけど。
借りてきた文庫本には、表題の「阿Q正伝」、「狂人日記」などの短編がたくさん収録されています。
改めて読んでみて…この2作の主人公が、あまりにもダメダメでちょっと驚いた。
ニューシネマか何かか?
阿Qは貧乏で字が書けず、独り者だけど割合ひとなつこい男。プライドばかり高くてちっとも働かないし、そもそもちっともいい奴じゃないので、みんなに疎まれるようになり、あとは野たれ死ぬだけ。。。
「狂人日記」の狂人も、どこか愛嬌があるけど妄想がどんどん大きくなっていって、こっちも野たれ死ぬだけだ。
偉大な作家が書いた、学生の読書感想文の課題がこれなんだ。
なんとなく、こんな生き方だってアリだよ!と校長先生にでも言われてるようで落ち着かない。
まさか「こうなっちゃダメだよ」という意図ではあるまい。少なくとも、そういう印象はまったく受けなかった。不思議な本だ。
だけど阿Qと比べて、自分のほうが高尚って気もしないな。澄ました顔で、心の中ではひとをうらやんだり妬んだりしてるし。まじめな大学も出て定職についてても、そうではない人と何か違うわけじゃない・・・。
呑んだくれのトリックスターと市井のひとびと。暖かいとまでは言えないけど、パワフルに日々を過ごす人たちのパワーも生き生きと感じられる短編集ではありました。
« アメリー・ノートン「チューブな形而上学」344冊目 | Main | ウィリアム・バロウズ「裸のランチ」346冊目 »
「本)文学、文芸全般」カテゴリの記事
- Min Jin Lee「Pachinko」473冊目(2019.10.27)
- 朝井リョウ「世にも奇妙な君物語」456冊目(2019.04.30)
- パブロ・ネルーダ「2000年」「大いなる歌」454、455冊目(2019.04.21)
- 川村元気「億男」453冊目(2019.04.20)
- 朝井リョウ「何様」452冊目(2019.04.14)
The comments to this entry are closed.
Comments