又吉直樹「火花」341冊目
文藝春秋を買っただけだけど、感想書きます。
すごく熱いものを感じさせる作品で才能あると思うけど、内向的すぎるのと、オチが一般の人から見るとちょっと突拍子ない感じじゃないかな、と思いました。でも、次も読みたいと思うし、プロの作家としてやっていけそう。…というのが印象。
主人公も先輩も、先輩の昔の彼女も今の彼女も、みんなみんな優しすぎる。とことんいい人ばかり。それぞれ特徴があっていとしくなるけど、又吉氏が「もっといやなやつ」をどう描くのか、見てみたいな。
特に前の彼女のマキさんが、「美人でいつも笑っている」「ご飯を作って待っている」「芸人の男のためにキャバレーで働いて食わせている」というひたすら献身的なだけの女なんだ。芸人と別れて客と付き合い始め、その後子供を連れて幸せそうにしているのを目撃される。
作者はとっても純粋な人なんだろうな。でも、マキの心の中の真っ黒な部分(あるかも)にも目を向けて、もっと深く深く切り込んでもらってもいい、と思います。
そして落ちのつけかた。これは、ユニークな芸人のコントの落ちだ。小説を読みなれた人はびっくりする。書きなれてきたら、こういう突拍子もないエピソードが、さらに増強されるのか?だんだんマイルドになるのか?違う何かに化けるのか?ちょっと楽しみです。
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