村上春樹「Sydney!」333冊目
この本は、村上春樹が2000年9月のシドニーオリンピックを現地取材したときの現地レポート、というよりエッセイです。私は2015年4月〜5月のシドニー旅行にこの本を持って行って、短い滞在だったけどちょこちょこ読みながら過ごしてみました。
15年もたっているのでオリンピックの影はもうなく、オリンピックパークは「Centennial park」となり、彼が滞在した「Royal Garden Hotel」は「Metro Hotel」という名前のくたびれたホテルになっています。彼が退屈でお金ばかりかけすぎているといったオリンピックは、今も多分彼にとっては退屈だろうし、お金はますますかけすぎているようです。
でも、走らない私にとっては、マラソンこそが一番冗長で退屈で体に悪そうに思えるんだけどなぁ。
それにしてもこの本は、ふつう推敲に推敲を重ねる小説家が、なにかの間違いで一発書きの文章を発表することになった、という感じで、ちょっと頑固で子どもっぽい部分が見えてきてとても興味深かったです。
こういう普段の文体や感性は、NHK広報のtwitterアカウントをやっていた「浅生鴨」さんに似てるなぁと思います。
現地の人と積極的に交流するわけでもない人の本なので、現地の雰囲気はあまり伝わってきません。
私が経験したシドニーは、コーヒーがおいしくて人はどことなく明るく健康的で、なかなかいいところでしたよ。
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