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December 2014

December 28, 2014

村田喜代子「光線」324冊目

安定の読み応え。
といっても、最初のほうは若干いつもの幻想的な空気を感じず、彼女の書くエッセイのような印象が少しありました。後半「夕暮れの菜の花の真ん中」、「山の人生」、「楽園」の3編は、まさに村田喜代子節、デビュー作をも思わせるスリリングな展開が続いて、読書の醍醐味を味わわせてもらいました。


 


そこに出てくるのは共通して「完全な暗闇」。人がもれなく誰でも本質的に感じる恐怖です。
彼女は、そのような恐怖に「逆らう」人を書くことはないんですよね。立ちすくみ、黙って自分の動揺や闇そのものを凝視する。観察する。


 


村田喜代子が闘病していたことも知らなかったけど、こんなにたくさん本を書いていたことも知らなかったです。読みたい本がたくさんあって嬉しい…。


December 16, 2014

兼高かおる「わたくしが旅から学んだこと」323冊目

あの兼高かおる!
1ドル360円の時代に、今は亡きパンナム提供の「世界の旅」で地球をくまなく歩き回った、旅行番組のゴッドマザー!
ご存命だっただけでも嬉しいのに、こんなに元気に今も活躍されているとは。


 


彼女の「行った国リスト」や「旅行鞄の中身」を眺め、彼女の人生観に触れるのがとても楽しい本です。
とても美しい言葉遣いやマナー、良い家で育った彼女らしさが現れた本でもあります。
「今の若い人たち」のマナーに時に苦言を呈する場面もありますが、それは彼女のお母様のような方がいなくなってしまったから、なのでしょうね。しつけてもらえなかった人たちを責めてもしょうがない。


 


私も大小問わず、国内・海外問わず、どんな旅行も大好きですが、プライベートでの旅っていうのは純粋に「自分のため」にするものですね。未知のものに出会い続ける楽しさの反対側には、待っている家族やペットや仕事があることを忘れちゃいかん、と改めて思うのでした。


December 14, 2014

吉田友和「10日もあれば世界一周」322冊目

最近旅行ばっかりしている私が、とうとう「世界一周」に挑戦してみようかと思っていたところ、ちょうど近くの書店の店頭にこんな本があったので買ってみました。
How-to本でもないし、旅行記としても中途半端ではあるのですが、そういうことではなくて、この本の素晴らしいところは、「私も世界一周行くぞ!」という気持ちにさせてくれるところです。


 


ここでいう「世界一周」とは、航空券の「世界一周チケット」を買って、数大陸を一度に訪れる旅行のことです。一気に全大陸を回るとか、まさかすべての国を回るということではないです。


 


世界一周チケットというのは、マイレージグループの「スターアライアンス」とか「スカイチーム」が販売している、だいたい1年くらいの期限つき、いろいろな条件つきの、チケットです。定額なので、うまく使えばとってもお得。


 


たとえば…
「南回りコース」
東京、クアラルンプール、デュバイ、イスタンブール、ブリュッセル、
ボストン、ニューオリンズ、ブエノスアイレス、アンカレッジ、東京。
「北回りコース」
東京、ハバロフスク、イルクーツク、カザン、サンクトペテルブルク、
トロント、バンクーバー、東京


 


とか夢想してみる。
そんな感じで、740円の何倍も楽しめる本です。