塚本邦雄「十二神将変」316冊目
友達に勧められて読んだ。
不思議な感触だな。
耽美的、退廃的なようで、どこか健全で図太く生命力がまっすぐとしている。
言葉は美しくなくもないんだけど、声に出して読んだときの音がきれいでない。口ずさんで鈴のようにコロコロと流れる文章ではない。
クラシック音楽は聴くのかもしれないけど、日本語を楽曲に載せるイメージを持たない人だったのかな、と思う。印象だけでいうと、左脳的。今生まれてもシンガーソングライターにはならなかっただろう、と思う。
美しいものを描くときに、言葉遊びを使ったり、いちいちブランドを引く(舶来のものだとか、何にしても)あたりも、文学部的、左脳的なんだ。右脳系、芸術系じゃない。だいいちタイトルの語感が悪い。
そういう意味では、宮沢賢治のほうがずっと感覚的で耽美的、と思う。
予想よりずっとかちっとした小説でした。なかなか珍しい、面白いものを読みました。紹介してくれてありがとう!
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