松浦弥太郎「センス入門」300冊目
週末に東京駅のKITTEの中の本屋で見かけて、なんてステキな本なの!と思ったんだけど、買わずに帰ってしまったのでのちほど別途入手。
「暮しの手帖」の現・編集長が、彼の考えるセンス(選択する能力、本書内では「美徳」とも呼ばれる)を養うためのヒントを本にしたものです。
手に入れて読んでみると…店頭で感じたマジックはどこへ?
おおむね、理解はできるけれど、本という形にするために無理矢理言葉を発明しようとしていて、生活の中でモノを選ぶセンスと裏腹に、言葉で人の心を動かすのはあまり上手じゃないなぁ、と感じるところもありました。
すごい、その通りだ!と思った箇所はたとえば、「すなおな目で物事を見る」、「友だちはたくさんいらない」、「つねに社会とつながっている」、「身ぎれいに」、「よくも悪くもない、という落とし穴」、「すすめられたことは試してみる」、「知らないことは知っていそうな人に聞く」などなど。
でも、「角を持つ」章などは、物体を支えるには「角」を持つと安定する、ということを「雑誌のエッジである読者」に例えようとして失敗してる。どう考えてもその2つに共通点はありません。重力による物理的な法則と、人間心理や社会性の問題が、たまたま似て見えたからといって混ぜこぜにしてしまうのは間違いです。化学や生物学ならともかく。無理に説得力を持たせようとして飛躍しすぎです。この本の編集者は、そういうところにチェックを入れられなかったんだろうか?
あと、万事につけこの人は「人から自分がどう見られるか」ということを価値観のてっぺんに置いているのですが、私は”自分の物差しをしっかり持ち、ある人からは好かれても別の人からは嫌われてもいい、自分を貫けるのがセンスだ”という本が読みたかったのでした。私の選択ミスかもしれません。
とか言ってるけど、学ぶことも多い本でした。本当に。
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