松倉秀実「黒船特許の正体」280冊目
副題は「Apple、Amazon、Googleの知財戦略を読み解く」。
この本は電子書籍と紙の同時発行。もともとは、impressの電子“雑誌”である「OnDeck」に連載された記事を、EPUB3とプリント・オンデマンド(注文に応じて即座に印刷・製本)の形で発刊したものです。そんな発行形態からして新しい、松倉さんらしい新時代の書籍!です。
タイトルの「黒船」については、「はじめに」で以下のように書かれています:「本書では、電子デバイスメーカーとしてのアップル、インターネット上の情報管理企業としてのグーグル、インターネット上の物販システムの変革者としてのアマゾンの3社を平成時代の「黒船」ととらえ、これら3社のビジネスモデルを分析し、それぞれのモデルに対応した知財戦略(特に、特許戦略)があるはずだという仮説のもとにこれらを検証・分析してみました。」
誰でも毎日のように使っているアップル、グーグル、アマゾンの機器やサービス。日本国内には、彼らに匹敵する商品やさーびすはまだ存在しません。誰もが知りたい、この3社のビジネスモデルの強みを、著者お得意の知財分析から読み解くという、専門的かつ知らなかった情報たっぷりの本です。
ぶっちゃけ薄い本です。70ページで、電子版だと680円、紙だと1080円。私が買ったのは紙ですが、印刷や製本は市販の書籍と同じ高品質だし、下手なメルマガや「この記事の続きが読みたかったらxxx円」と比較して高いと感じないのは、内容が濃いからでしょうね。
具体的には、各社のビジネスの根幹と思われる特許出願の内容、その査定や変更の経緯をたどって、戦略とその修正の経緯を読み解きます。同じ特許庁に対する出願である限り、特殊なやり方は通用しないことから、特許戦略というもののあり方自体は、専門家がきちんと読み解けばそれほど実体とかい離しないのではないかと思われます。この本、今後新ビジネスを始めようと思う人にはけっこう得難いヒントになるかもしれませんよ?
もっと続きが読みたいんだけど、書いてくれないかなぁ・・・。
以上。
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