山本雅基「山谷でホスピスやってます。」278冊目
10年ほど前に自力でゼロから山谷にホスピスを作って、その後ずっと運営してきている人が書いた本。
山田洋次監督、吉永小百合と笑福亭鶴瓶主演の「おとうと」という映画で、おとうとの終の棲家としたホスピスは、ここがモデルになってるそうです。
山谷といえば日本で一番有名なドヤ街。そこで死に至る病気に見舞われた人たちの最期をみとる場所・・・というのは、マザーテレサの「死にゆくひとたちの家」の日本版といえそうな気がします。ここしばらくの間に読んだ介護やターミナルケアの本のプロフェッショナルな印象をひきずっていたこともあって、この本はきっと、もっとも難しい利用者さんたちを天才的にうまくまとめている人たちの本だと思って読み始めました。が、実際は、志あふれる若者の、ある意味無謀な挑戦の本でした。
著者たち立ち上げメンバーは、夢の大きさほど神経が太くなくて、大いに傷ついたり倒れたり寝込んだりうつになったりします。前に読んだ本のほうが、利用者さんの気持ちをよく理解したケアをしているのかも、と思うこともあります。でも、等身大なので読んでいる自分を映して、やっぱりそうだよなぁと共感します。
終わりよければすべてよし、だよなぁ。
今度このホスピスの辺りまで出かけてみよう、と思います。以上。
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