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May 09, 2012

黒澤明監督「七人の侍」348

1954年作品。
うう、面白かった。最高おもしろかったです。
207分という長尺作品ですが、夢中になって一気に見ました。
むかしからうっすら知ってた映画でしたが、実際に見てみて驚いたのは…
・あまりに長い、DVD2枚組、しかし飽きさせない。
・百姓が侍を「雇う」というありえない設定であり、そのために合戦に入る前の描写が長く取られている(その間に登場人物のそれぞれの人間性が観客に刷り込まれる)(「百姓」は避けるべき差別語という人もいるようですが、祖父が誇りを持って自分は百姓だと言ってたらしいので、気にせず使います)
・三船敏郎演じる「菊千代」がこれほど道化キャラだと思わなかった…(先に「隠し砦の三悪人」を見てしまったり、後年の大御所化した姿しか知らなかったので)

この映画での百姓は自然や災害や野武士(彼らのことばでは「野ぶせり」)の脅威にただ耐え、大事な娘や妻を差出し、地面に頭をこすりつけて武士に懇願する弱い存在です。今はこういう絶対的な身分差って日本にはないけど、100年やそこら、3代くらいの世代を経たくらいで完全に侍と対等っていう意識がもてるようになるんだろうか。とか思ったりする。

役者さんたちについて。
三船敏郎ってあまりに迫力がありすぎてちょっと怖かったんだけど、この映画の彼は大きい野生の犬みたいで、力を持て余してるけど優しくて可愛い。ちょっと好きになりました。
チーム侍のリーダー、志村喬は重厚さがすばらしいです。いつもの名わき役、加東大介は今回も、かしこくたくましく、生き延びていきます。この人の顔って日本人形だなぁ。少年侍は初々しい木村功・・・あれ、でもこのとき31歳だ!ストイックな剣豪は宮口精二。いろんな映画で、堅くてアクのある実力者を演じていて、この映画でも実在感のある演技をしてます。7人ののこり2人は千秋実と稲葉義男なのですが、温厚な性格が似ていてちょっと区別がつきにくかったです。

百姓側も個性派揃いで、左卜全演じるユーモラスな中年もいい味だし、いつも渋いじさまの高堂国典はやっぱりヨーダのような長老だし、美しい百姓の娘を演じる津島恵子(なんとなく高岡早紀に似てる)と、犠牲になった利吉の女房の島崎雪子は繰り返して見たくなるくらいステキです。

前半の群像劇もいいんだけど、後半の合戦は迫力満点。抑えることなくドッカンドッカン闘いますが、過剰に血なまぐさくならず私でも十分楽しめました。

安易なハッピーエンドでもなく、教訓めいた締めくくりでもなく、まさに傑作ですね。見てよかったです。黒澤作品、ほかにも見てみます。


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