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April 2012

April 22, 2012

中村登監督「古都」346

1963年作品。

この頃の作品が続きます。63年だけどこの映画はきれいなカラー。地味な着物の色合いもよく出ていますが、主人公の二人の顔色の白さと黒さも際立って、カラーであることが効果的。

主人公は岩下志麻の一人二役で、一人は呉服問屋のお嬢様。実は捨て子だったのだが、かしこく美しい娘に育っていた。彼女にはじつは双子の姉妹がいて、祇園祭の夜に神社で二人は出会ってしまう。もう一人は村の娘。生まれた家で育ったが両親は亡くなり、ひとりで日々働いて暮らしている。身分の違う姉妹は、再会を心から喜ぶが、行く道は交わることなく・・・・。

私が知っている岩下志麻は象印魔法瓶であり「あんたら覚悟しいや」であり、強い強い美人のおばさん、という役柄のイメージでした。「岩下志麻という人生 - いつまでも輝く、妥協はしない」という本を読んで(感想は後日)、あくまでもハキハキとイメージ通りの口調で、しかし内容は多感な女性らしさのを感じさせるのが、ちょっと意外にも思えていました。同じ女性として、強そうにしている女性ほど感受性が強いこともあると、わかっているのですが。

その謎がこの映画で解けました。
お嬢様の千重子は、まだまだ若くて可憐だけど、私のイメージ通りの正しくてまっすぐな女性。村娘の苗子は素朴で激しい感情を持ったパワフルで荒削りな女性。この両方とも、岩下志麻の中にあるんだな、と思ったのです。

千重子的な女性の役ははまり役だと思うけど、苗子のような女性をその後岩下志麻が演じたことはあったのかな?そっちをすごく見てみたくなりました。これからも、そういう女性を演じてみてほしいと思います。以上。

小田原きよし「ヒトのチカラ。」345

これはいい本だ。
本として、構成とか文章の完成度とかの問題ではなくて(それも良いのですが)、コンテンツの問題です。読む価値のある内容をもった本です。

災害ボランティアって何?という漠然とした疑問を、初めてボランティアに行って長く滞在し、少しずつ知識や経験を深めていった筆者といっしょに、彼の手記を読みながら追体験できるのです。

日本にいるたいがいの人たちが、自分のことのように被災した方々をみて、テレビを見ているだけでは胸が痛い、何かできないか?と思っています。でもなかなか時間が作れなかったり、体力や協調性に100%の自信がなかったり、お金の余裕がなかったりして、何もできないフラストレーションにさいなまれている人も多いはずです。

何をするにも思い悩みがちな私も、震災から1年たってやっとボランティアに出かける勇気が持てました。行ってみたら、幸運にも非常に運営のしっかりしたボランティアセンターのある地域で、私たちは何も悩まずに与えられた作業をこなして、みんなで成果をあげることができました。よく組み立てられたツアーにまず参加してみて、それからこの本を読んでもっと深く理解する、という順番が自分にとっては良かったように思います。

ボランティアとは、「黙って来て、黙って働いて、黙って帰るものだ。」など、印象に残ることばがいくつかありましたが、読み終わってすぐに人に貸してしまったので詳細は思いだせません・・・。もう1冊買おうかしら。以上。