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July 04, 2011

松倉秀実・花村剛「iPad知的生産の方法-ビジネスフィールドでの検証」255

面白かったです。
”iなんとか”や”スマホ”に関する本はいろいろありますが、この本は業務上膨大な情報を扱っている2人の実務家(ライター専業でない)が、具体的にどのように自分の仕事をiPadでやれるか、いったいそれで何かが改善されるのか、それとも使わないほうがいいのか、あれこれ自腹で検証した結果をまとめた本です。2人とも仕事がかかってるから本気です。使えない機能やツールがあればちゃんと「使えない」と書いてあります。新しいもの大好きな人たちだと思うので、保守派なら「うーん、このくらいは自分は従来のPCでやるからいいや」と思う部分もあるかもしれませんが。

松倉氏の本業は弁理士。ということはネットでの出願情報調査、過去文献調査、クライアントとの打ち合わせや新しい発明の詳細情報のまとめ、出願書類の執筆、事務所の経営管理に関する情報・・・など、扱う情報量は膨大で、かつ、誤りがないことや機密性が保てることが極めて重視される世界だと思います。同じように文字情報が多く、機密性が重要な情報を普段扱っている人(一般的な会社員はみんなそうだと思いますが)には参考になるはず。

松倉氏の章はまず、専門の特許の観点からのiPad分析から始まります。アップルは昔から、ユーザーが自社製品を手にしたときの感覚や使いやすさを非常に重視してきたことで有名ですが、その研究成果を無にしないための特許戦略もしっかり持っているらしい・・ということが理解できて、一般の会社員読者としてはこれで十分という印象です。

もう一人の花村氏は人の行動分析(歩行や視線の動きの軌跡を計測・蓄積・分析することなど)を専門とするITコンサルタントとあります。ハードウェアやソフトウェアのUI(ユーザーインターフェイス)の開発のための基礎データを作ったり、効果測定を行ったりしているんだろうなと思います。
従ってこちらの視点は、まずiPadのUIに向いていきます。こちらも、専門知識の部分はあくまでも概観にとどめて、一般の読者が退屈せずに大まかな理解ができるようになっているところが、良いと思います。

「自炊」(電子書籍を買ってくるのでなく、紙の書籍を自分で裁断、スキャンして電子データ化すること)についてもかなりページが割かれています。自炊の章は花村氏が書いていますが、次章では松倉氏自ら自炊中の写真も掲載されています。みんな、好きだなぁ(笑)

私はまだ自分ではiPadを入手していませんが、iPod Touchを持っていたり、Googleの各種サービスを使っていたりもするので、今すぐにでも使い始めてみたいツールやサービスも見つけました。いわゆる「クラウド(ここでは、大雑把に言うと各種ツール+サーバー容量をインターネット経由で提供しているサービスくらいの意味)」については、使ってみないと使い勝手や安全性のことがわからないので、実験台になってくれたお2人に感謝です。

で、「じゃあ私は今後iPadを買うのか?」という点ですが、会社に業務用のがあるので今すぐには買わないな・・・。(ただ、”iなんとか”はiTunesと連携して使わないとあんまり意味がないので、自分自身のiTunesと同期できないiPadは、あっても本当には役立ちません。)今は、Android携帯やiPod Touchで、どれくらい電子書籍やアプリが使えるのかという限界を調べてみようと思ってるところ・・・。少なくとも今はまだ、iPhoneやAndroid携帯は電話という必須アイテムだからみんな買っているという面があるので、普及度で負けようがないこれらの「スマホ」で何ができるかの方が、仕事上は興味があるのです。(ただこれは、業界や業務にもよると思います!)

という訳で、いろいろやってみたいけど時間もお金もない、安全性も心配・・・という方々にオススメの本です。自分でもいろいろやってる人には、なおさら人の実験が面白く読めるかもしれません。以上!

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