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July 24, 2011

樋口泰行「マイクロソフトで学んだこと、マイクロソフトだからできること」261

「愚直論」「変人力」に続く3冊目。ファンか私は。

「愚直論」を出したときは日本HP社長までのキャリアについて書き、「変人力」ではダイエー再建について書いた樋口氏ですが、3冊目にしてやっとマイクロソフトについて語りました。

マイクロソフトって会社は、むずかしい会社です。良い面をいうと、あの会社がなければ、世界中のいろんな国の人と普通にWordの文書をやりとりできるような環境はなかった、あるいは、もっと時間がかかった、と思います。1つの会社がやるには大きすぎることをやりとげたすごい会社ではあるけど、どうしてここまで嫌われてるんだろう(少なくとも日本で)?と考えると、製品開発の段階でユーザー視点がなさすぎる(Vista以前はひどかったけど、今も物足りない)ことや、インチキっぽいカタカナのメッセージが多すぎたことがすぐに浮かんできます。

US企業なので、企業メッセージの原語は当然英語。それをただの翻訳でなく普通の日本語におとしこんでから社員に伝えることを心がけた、と樋口氏は書いています。…正しい。当然ともいえます。外資系企業の日本の人たちは、英語も日本語もぺらぺらしゃべってるけど語学力が実は低い人もいるなぁ、と前から思ってました。これは正しい日本語力と英語力の問題です。てきとうに訳すからそれなりにしか自分も理解できないし、ほかの人にはもっと伝わらない。正しい日本語にしてから使う、というのは、とても難しいけど、やらないといけない基本的なことだったんだなぁと改めて思います。

契約書とかもそうなんですよね。USで作った契約書は、一見感じが悪い条項もあるけど、よくよくUSの弁護士と話してみると結構違う意図だったりします。法律の専門家の中には外国で弁護士登録をしていても契約書を100%理解するだけの英語力がない人もいます。1500ワードくらいのレベルで外国語を手軽な道具として使い始めることは国際的なビジネスマンには必須だけど、100%ちかく理解して母国語に落とし込むレベルの語学力ってのも、重要な局面ではぜったいに必要だと思います。

最後のほうにWindows7の開発・発売と成功についても書かれていますが、なんとなくこの章の中身は若干薄い気がします。樋口氏が最も注力してきたのはエンタープライズ営業で、製品開発にはほとんど関与してないし、Vistaがコケた次のOSなので、XPのまま待っていた人たちが発売後すぐに買ったのは、予想できたことです。まだまだ。ちょっと厳しいかもしれないけど、マイクロソフトは製品の基本的なところを開発する人をちょっと大切にしすぎている気がしていて、ユーザーの便宜のためにもっと開発者を泣かせてほしいと思います。

しかしこの本を読んでもわかるけど、マイクロソフトって会社は自己研さんの会社で、本当に勝ち続けるためには遊んでる暇はない、っていうことが少なくともポリシーとしては徹底されています。それでも、ずっと昔からやっている”クラウド”もモバイルもあまり使われてないし、スマホの時代になってOSの存在感はかぎりなくゼロに近づいていきつつあります。これからどうなっていくのかな・・・。ずっと見守っていこうと思っています。以上。

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本)経営・ビジネス系」カテゴリの記事

Comments

Microsoftを嫌う人が多いのは、創世記にあったような、強引に市場を奪い取るアグレッシブなイメージが未だに根強いせいじゃないかと思います。最近はだいぶ(少なくとも表面上は)そんなイメージも薄れた気がしますけど。
そのせいなのか、話題が少ないからなのか。最近は力強さが感じられなくなりました。いっそ昔のように、メチャクチャだけど力強いイメージの会社になって欲しいなって思うのはマイノリティ?:)

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