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June 24, 2011

津田大介+牧村憲一「未来型サバイバル音楽論」253

金髪のとんがった才気あふれる青年、というイメージの津田氏に興味があって読んでみました。するどいナイフで、読んでる私まで切り刻まれるのかと思ったら、意外と普通の新しもの好きな若者だなぁという感想です。
なぜなら、彼は「新しいことをしている人」にひかれるから。
まわりに動かされずに、普遍的な価値だけを求める人のほうが怖い。今より新しいものに期待するのは、私もそうだからちょっと安心したというか。

音楽業界は変わりつつある。レコードからCDへ、そしてCDが売れない時代へ。売れなくなったCDの分を埋めるほどダウンロード楽曲は売れてない。そんな時代に音楽で食べてい。(シェアではなくマネタイズが基本姿勢となってます)にはどういうやり方があるか。という実験的な事例がいろいろと紹介されています。

流れとしては、曲を作って頒布するのにかかるコストは激減してるので(って言ってもProToolsは高いよ!)、個人で直接世界に向けて曲を売ることができるようになってる。巨大レコード会社には、今のままでは未来がない。というところまでは動かしようのない事実。

で、これからは古代の音楽の世界に戻っていくのか?
小さい街や仲間内で楽器や歌のうまいやつの録音を、売りあい買いあう小さい商売ばかりになるのか?
儲けるためじゃなく、いいものを掘り出して、聴きたがってるところに情報を流すプロデューサーの存在がますます重要になるけど、質も数も足りてるかどうかわからないし、「大衆」は細分化されてしまった後で、大量に音楽を売ることはますます難しくなる。

私がずーっと好きでCDを買ってる30年前からのアーティストは、一発屋だったと思っている人もいるし、名前も知らない人がほとんどだけど、自分のレーベルでもう何年もCDを出していて、ニューアルバムのSpecial Editionはオフィシャルサイト限定で通販してる。これをサイトからのメールで知ってすぐに申し込む人が、日本にもたぶん100人くらいはいる。。まったくの新人1万人の曲を、私はひとつひとつ聴いてみようと思わないし、その中から才能を見つけ出すのは、私より才覚のある専門家の仕事だと思います。だから音楽番組はありがたいし、レコード会社のスカウトマンは絶滅しないで違う形でも生き残ってほしい。

私はこれからも、たまたまラジオやTVで聴いた無名のバンドのチケットやCDを買うし、友達が薦めるものも、チャートの上位のものも聞いてみる。気に入ったら買うかもしれない。でももう、それほど手を広げようとは思わないんだ。私に処理できる情報量は、それくらいでmaxです。

ところで、書かれてる過去のできごとの時系列がびみょうにズレてる気がする点がいくつかありました。たとえばライブハウスのチケットノルマは86年前後からだと言ってるけど、私が81年~84年に出させてもらったイナカのハコにもノルマありましたよ。まさか九州発祥!?「イカ天」はそれよりずっと後(wikiによると89-90年)だし、「ホコ天」は外でタダでやるものなので、ライブハウスの経営とは関係もない。その後に書いてる「アパレル業界や不動産がどんどん進出してきた」という「ライブハウス」は、ノルマ制とは無縁の「小さめのコンサートホール」のことじゃないのか?とも思う。日清パワステとか?あっという間になくなったサイカとか?頑固おやじが自分の才覚だけでいいバンドを見つけて、ノルマなしで出演させる敷居の高いライブハウスは80年代にも確固としてあって、そういうのにいつか出てぇなとつぶやきながら、ノルマチケットのためにバイトに精を出すっていうのが若く貧しいバンドマンたちの典型だったと思います。

ステレオとウォークマンの関係も、私の経験と違う。私の町にも80年ごろに貸しレコード屋ができて、それを借りてきてカセットに録音して家で聴いてました。ラジオを録音したい人はずっと昔から「ラジカセ」で「エアチェック」をしてたし、ラジオ録音用のモノラルカセットレコーダー(今のICレコーダーみたいなの)はもっと前からあった。ウォークマンはステレオを買えない人じゃなくて、家にステレオセットがある人が自分の、あるいは友達や貸しレコード屋で借りたレコードをカセットに録って外で聴くための贅沢なおもちゃだったと思います。(私は大学入ってバイト始めるまで買えなかった、、)

とかいろいろあるけど、音楽に対する著者二人の愛情はじわっと伝わってます。最後は音楽に対する愛だよね。私は家のミニコンポ(LP、カセット、MDも対応)で、各種フォーマットの音源を今夜も楽しみます。以上。

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