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January 2011

January 02, 2011

西田浩「ロックと共に年をとる」237

帯にはこうあります:ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン・・・(中略)etc.「伝説」たちに聞いた、音楽の話、人生の話。

タイトルからは、最近はやりの「大人でもロックを聴こうじゃないか運動」(どこで誰がそんなことやってるんだ)を促進する内容を想像したのですが、帯を見ると音楽ゴシップ本のようです。こういう不一致感が、読んでいる間もずっとつきまといました。著者の中にもそういう矛盾があるような印象で、みんな、またロックを聴こうよ!と呼びかけているのに、足りないものがある。自分はどんな音楽が好きで、仕事ではいつ誰と会ってどういう話をして・・・と語るんだけど、音楽そのものやミュージシャンに対する「愛情」が伝わってこないのです。

もうひとつ言うと、文章表現が平板すぎます。会って態度がよかった人は「潔い」ばっかり。そうでないと彼が感じた人に関しては「復活のための戦略だ」といってみたりして、自分の立ち位置がロックファンだと言っているのになんだか興味本位のワイドショーのレポーターのように感じられることも多いです。

わたしと同じようなやりかたで音楽を愛してる人が書いた本ではなかった・・・というのが感想です。以上。

村田喜代子「故郷のわが家」236

2010年1月発売の、村田氏最新作。「野間文芸賞」受賞作だそうです。
個人的には・・・ちょっと物足りなく、この作家にはめずらしく、途中ですこし飽きました。
いつもの豊かなイマジネーションも、空想がちな女性の一瞬の白昼夢という印象で、「どこか遠くへ連れて行ってくれる」ような驚きを感じません。全体的に断片をつなぎあわせた感じがあって、いつものこの作家の短編集のように、最後まで読むうちに一貫した流れに押し流されるような感覚をおぼえることもなかったです。だんだん私とは合わなくなってきたのかな?

次回作は買う前にちょっと躊躇して立ち読みしてみる予感。以上。