« November 2010 | Main | February 2011 »

January 2011

January 13, 2011

小泉信一「おーい、寅さん」239

日本映画シリーズ第2弾(自分の中で)。「男はつらいよ」シリーズは、「NHKのど自慢」と並んで、スカしたパンク少女だった頃の私が苦手としていた世界でした。でも数十年後の今はわかる。カッコ悪くても、びしっと芯が通ってなくても、家族や近所の人たちに囲まれて暮らすあったかさ。なつかしいというより憧れって感じです。

この本は著者がいろんな人に対して行った「寅さん」に関するインタビューをまとめたもの。最初の章では歴代「マドンナ」の話が続くので、なかなかお得感があるのですが、そのあとは柴又や寅さんにまつわる市井の人々の話なので、面白いけどだんだんエピソードが薄くなっていきます。同じ人のインタビューをあちこちで使い回してるのか、(あれ、さっき読んだような)という既視感も何度も感じました。

ま、いいんです。入院中の父に送るために買ったものですから。
ひきつづき、昭和ひとけた男性のボケ防止のための書籍を探していく予定です。
以上。

January 10, 2011

立花珠樹「『あのころ』の日本映画がみたい!」238

入院してる父(映画好き)に送ってやろうと思って買ったのですが、あまりに面白くて自分用にもう1冊買うことにしました。

この本は共同通信の映画コラムをまとめて本にしたものです。年代を1950年代以前、60年代、70年代、80年代、90年代以降に区切って、それぞれの時代の映画の中から著者のハートを捉えた作品を取り上げて解説しています。しかし下記No.237と対照的に著者の超個人的な思い入れたっぷりの、人生が伝わってくるような本。こっちのほうがずっと役に立つし、面白いと感じます。自分と合うにしても合わないにしても、書いてる人の軸がくっきりと見えるので、「映画ガイド」としても便利。

どう「超個人的」かというと、著者自身の弁で”選んだ作品は大きく4つに分類される”とまえがきにあります。
1.犯罪者およびアウトローへのシンパシー
2.だらしない男、ダメな男など、泥沼のような男女関係へのこだわり
3.青春もの
4.喜劇に対する嗜好

・・・ね、面白そうな本でしょ?
こういう個人的趣味全開な執筆姿勢と、それを客観的に見下ろして分類できる冷静さが共存しているところが、読みやすさと親しみやすさにつながっているように感じます。

紹介してる映画が、基本的にすべて今DVDで手に入るという点も重要。いままで絶対見ることのなかった「女囚さそり」とか「ゆきゆきて神軍」とか、見てみちゃおうかな~~と思います。
そして、このブログがある日映画ブログになるかも、と予言しておこう。。。。
以上。

January 02, 2011

西田浩「ロックと共に年をとる」237

帯にはこうあります:ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン・・・(中略)etc.「伝説」たちに聞いた、音楽の話、人生の話。

タイトルからは、最近はやりの「大人でもロックを聴こうじゃないか運動」(どこで誰がそんなことやってるんだ)を促進する内容を想像したのですが、帯を見ると音楽ゴシップ本のようです。こういう不一致感が、読んでいる間もずっとつきまといました。著者の中にもそういう矛盾があるような印象で、みんな、またロックを聴こうよ!と呼びかけているのに、足りないものがある。自分はどんな音楽が好きで、仕事ではいつ誰と会ってどういう話をして・・・と語るんだけど、音楽そのものやミュージシャンに対する「愛情」が伝わってこないのです。

もうひとつ言うと、文章表現が平板すぎます。会って態度がよかった人は「潔い」ばっかり。そうでないと彼が感じた人に関しては「復活のための戦略だ」といってみたりして、自分の立ち位置がロックファンだと言っているのになんだか興味本位のワイドショーのレポーターのように感じられることも多いです。

わたしと同じようなやりかたで音楽を愛してる人が書いた本ではなかった・・・というのが感想です。以上。

村田喜代子「故郷のわが家」236

2010年1月発売の、村田氏最新作。「野間文芸賞」受賞作だそうです。
個人的には・・・ちょっと物足りなく、この作家にはめずらしく、途中ですこし飽きました。
いつもの豊かなイマジネーションも、空想がちな女性の一瞬の白昼夢という印象で、「どこか遠くへ連れて行ってくれる」ような驚きを感じません。全体的に断片をつなぎあわせた感じがあって、いつものこの作家の短編集のように、最後まで読むうちに一貫した流れに押し流されるような感覚をおぼえることもなかったです。だんだん私とは合わなくなってきたのかな?

次回作は買う前にちょっと躊躇して立ち読みしてみる予感。以上。