湊かなえ「告白」218
ああ、読後感最悪。
なんだか悪意だけが人を支配してしまうパラレルワールドみたいでした。文庫版は巻末に映画化した際の監督のインタビューが載ってて「それだからこそ人は愛しい」のようなことを言ってるんだけど、そういう読後感がふつうに得られる作品だとは思えなかったなぁ。
人が人を恨むことでしか、明日も生きようという意欲が出てこないもんなんだろうか・・・。
なんていうか、ミステリーの面白みってのはプロットとか持っていき方とか、そういう頭を使った努力が形になったものだと思うし、それとは別の、人間の心の深淵を抉り出すような描写のある名作にしても、なにかもっと深みがあるような気がします。
人の悪意を羅列したもの、とも思えるんだ。深いのは描かれた悪意であって、著者の人間洞察ではない、気がします。現実でなく本の中というパラレルワールドで繰り広げられる言葉の暴力を、リアルだと感じて読むと、中毒のようになるのかもしれません。専門家ではなく一般の読者が選ぶものって、面白いけど、「巧い!」(私はわりとそっちが好き)とは感じないものも多い、とも思いました。
デビュー作って極端なエネルギーが感じられる作品も多いので、その後のこの人のものがどうなっていったか興味あります。以上。
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