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December 25, 2009

小池真理子「虚無のオペラ」192

例によってパパ'sライブラリから。

著名な日本画家の裸婦モデルをしている主人公も、もう46歳。彼女は盲目の妻をもつ8歳年下のピアニストと不倫してきたが、ついに別れを決意する。その理由は彼の妻の妊娠でも画家の自殺未遂でもなく、だんだん細っていく自分の行く末と彼の生き生きとした若さとのギャップに耐えられなくなったから・・・。

そんなストーリーでした。

タイトルも裏表紙のあらすじも、強すぎる香水のにおいのようで読む前からゲンナリしてしまってたのですが、最後まで意外としっかり読めました。イヤらしすぎないし、性愛を描くというより女性心理をみっちり描き上げた感じ。徹頭徹尾内向きかつ後ろ向きな主人公なのですが、気持ちの流れはわからないでもない。

「恋」を読んだときの感想を探してみたら、ありました。これです。ほめてますね、私。

年ってのは誰でももれなく取るものなので、相手がいいというなら自分が年上でも気にすることはないと思うんだが・・・若いったって相手も38でしょ。でも相手がいいというかどうかが気になる、というところまでは私にも理解できる。「気色わる!」とか言われたらきっと傷つくだろう、と思う。

でも逆の立場なら。8歳年上の男性もきっと十分魅力的なはずで、シワはシワとして、ハゲはハゲとして、ビール腹はビール腹として愛せると思う。でも8歳年上の自分に引け目を感じているというその人の感覚だけは愛せないかも。

だって8歳や15歳くらいなら、出会って恋愛ができるだけ幸せでしょ。年齢差が40歳だと、どんなに惹かれあってもお付き合いするのは物理的に難しいかもしれない。第一性別が男と女というのは幸せで、同性だと相手も世間も簡単には受け入れてくれないかもしれない。もっというと相手が動物とかモノとかだったら・・・(以下略)

私って前向き?

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