「佐藤可士和xトップランナー31人」176
UOMOという雑誌に連載された、佐藤可士和自身による、彼が希望した相手とのインタビューをまとめたもの。オーラの強そうな31人が堂々と並んでいます。だって・・
ビジネス系ではユニクロの柳井社長や勝間和代、音楽では矢沢栄吉、アート系では假屋崎省吾、蜷川実花、武田双雲、村上隆、さらに茂木健一郎に岡田斗司夫に石田衣良・・・(以上ごく一部)。
セレクションにはユニークな印象はなく、誰が見ても旬な人たちなのですが、ここで興味深いのは著者の「視点」です。著者が彼らから何を読み取ったか、という点が、各章の末尾に4~5行に簡潔にまとめられているのです。(これって教育的で面白い・・・ふつうインタビューなんて読者に判断をゆだねるもので、インタビュアーが結論をサマってるなんて、下手すると上から目線だよね)
曰く、「目指すターゲットをもたないと、人生は成功しない。自分の仕事に指名と理想をもって取り組んでいればチャンスも生まれると信じ、40代までに自分の方向性を定めるのが大切」であると、佐藤可士和は柳井正から読み取った。etc。このインタビューをまた、このサマリーのジャンルごとに分類して掲載してるところがまた、MBAの入門書のように教育的な配慮です。
何か月か前にこの人が日経新聞に連載してた「アートの視点」みたいな連載がとても面白かった。彼自身が子供の頃、美大生だった頃やいままでの仕事生活で、目を開かれたと感じた印象深い「アート」を毎回1つ取り上げたもので、便器をアートとして展示した最初のアーティストやアバンギャルドとの出会いなど、美術史の本ではおなじみのモチーフが並んでるのですが、それらをそのとき彼がどう感じたか、そのモノが備えていた何が新しかったから世間が驚いたり反発したりしたか、という点を述べていて、佐藤可士和という現代の目利きの「目」の本質を垣間見せてくれる連載でした。
その「目」を追体験するために、この本をインタビュアーになりきって読むもよし。あるいは単に、全盛期にある強烈なパーソナリティたちから自分が独自に何かを読みとるのもよし。帯には石田衣良が「この気を浴びよう!成功への道は、辛く険しい。でも同時に、楽しくてカッコいい。可士和さんに会うたびに、ぼくは新しい時代の気に打たれる。」と寄せています。カタログ的にも使えるし、「可士和的」な時代を読む目を養うのにも使えるという点で、ユニークなインタビュー本です。
わりとおすすめかも。
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