桜井啓子「現代イラン 神の国の変貌」161
授業の流れで読んでみた。
正直歴史はからっきしダメなので、イランの今の国家がどういう風に形成されたかなんて説明できない。つい先日の大統領選のことも、少しあちこちで読んで知っただけ。
たまたま最近、26歳のイラン人の女性と、43歳のイラン人の男性とかかわることがあったんだけど、同じように日本で働いているといっても立場が全然違うんだな。1986年のイランで軍隊を構成していたのは18歳から26歳くらいの、(農地改革で仕事を失って)都市に流れてきた若者たちだったと書いてあるけど、彼はまさにその年齢。そして、戦後祖国で教育を受けても仕事につけない若者が大量にバブル真っ最中の日本に流れたとも書いてあった。私はその頃、のほほんと学校に通ってバンドやったり受験勉強したりしてた。悩み多き年頃ではあったけど、明日人を撃つとか撃たれるなんて心配をしたことはなかった。
10代前半の若い少年兵も、戦争で死ねば天国行きの切符が手に入ると言われてたくさん駆り出されていったらしい。やりきれん・・・。
Winds of Godっていうお芝居が話題になったことがあったな。目が覚めたら自分が戦争の中にいて、周りの人たちがどんどん特攻隊として戦闘機に乗り込んで行ったら、自分も行かなきゃいけなっていう気持ちにならないだろうか?そういう世界を実際に体験してしまったら、20年たっても、友達がたくさん死んでいった戦争の大義名分を否定するのは難しいだろうと思う。
同じ年代を日本の学校で過ごした彼女のほうは生きてきた時代が違うし、環境も全然違う。日本の報道をみて「そんなに単純じゃない」とだけ彼女は言って、そのあとは無言。
単純じゃない理由は、その国が周囲の大国の緩衝地帯として利用された、ということもある。国内のいろんな勢力が、前はあっちの国についてたのに、今度はこっちの国と組んで・・・と振り回されているうちに、本当は仲良くしてたはずの人たちが憎み合うようになってしまう。
知ることで自分に何ができるわけでもないけど、彼らに対して、うっかり無神経なことを言ってしまうことが前よりは少なくなるかな。
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