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February 2009

February 25, 2009

大内範行、岡本典子、齊藤康祐 著「SEM;検索連動型キーワード広告」155

SEOのお勉強をしようと思って読んだ本です。
副題は「Web担当者が身につけておくべき新・100の法則」。
2000円という値段はお安くはありませんが、全ページカラーなので見やすく、セクションごとのページ色分けも効果的。中身も実践的で盛り沢山、この2000円は割高には感じられません。(1法則20円か。)
説明は具体的でわかりやすいし、スクリーンショットや図が多くて楽しく読めます。なにしろSEOってやったことがないんで、実地でやってみせるこの本はOJTのようで勉強になりました。少なくとも初心者にはお勧めです。(中級者以上の気持ちは私にはわからないので、その辺はなんとも。)

私は記録を取るのが大好きなほうなので、キーワード広告もいちど始めたらはまりそうです。あっちをいじったらいくつクリックが増えただの、こっちを変えたら売り上げが動いただの・・・。自分がやったことがはっきり数字になって見えるのって面白いですね。あー、Google AdwordsとOvertuerのSponsored Search、自分でもやってみたい・・・。やってみたいよぅ。もう一度昔の自分のサイトをちゃんと作り直して、実験広告やってみようかなぁ。

そのうちいつか、自分の手で何か作ってネットで売る商売もやってみたいです。で、なんとか食べていけるくらいのカツカツの収支を保ちつつ、お散歩とかお昼寝とかしながら、猫とのんびり暮らす・・・というのが夢。競争の激しい世界で仕事に追われながら、同じようなこと考えて現実逃避してる人って、きっとたくさんいるんじゃないかしらん・・・。

February 14, 2009

村田喜代子「名文を書かない文章講座」154

怖い本を読んでしまいました。もう、今までのように軽い気持ちで駄ブログを書けません。この本は私のall-time愛読書になるでしょう。

私が敬愛する文章の達人 村田喜代子は、北九州在住の芥川賞作家であり、彼女の受賞作「鍋の中」は黒澤明「八月のラプソディ」の原作であります。彼女の文章にはいつも、こどものような新鮮で豊かな感受性が発揮されていて、かつよく練られており、読み終わるといつも、どこか遠くの異世界に連れていかれてぽんと放り出されたように感じます。

その大先生が地元の朝日カルチャーで文章講座を開いているという。地元の新聞に文章教室を連載しているという。なんで新宿でやってくれないんだ~とねたんでもしょうがないので、この本を読みました。すると、天衣無縫に見えた村田作品が、じつは練りに練られた職人の技だったという事実がじわじわとにじみでてきます。文中何度も引用されている「高校生のための文章読本」の一節に、”良い文章とは、自分にしか書けないことを、だれが読んでもわかるように書く”ことだ、というくだりがあります。悪文とはその逆に、誰にでも書けることを自分にしかわからないように書くこと・・・・。タイトルにあるように、かっこいい文章を書こうとすることを村田は徹底的に戒めます。

これが、図らずもビジネススクールで教える仕事のやりかたと同じなんだな。「素人のように考え、玄人のように行動しろ」。プロダクトアウトは自己満足の名文気取りで、マーケットインは読み手の立場になってものを書くこと。ただ、もう一歩この本が進んでいると思う点は、ビジネススクールの学生は「自分はプロだから素人の顧客を別に想定してものを作れ」と教わるんだけど、村田はあくまでも文章というのは身近なものだ、人に評価してもらうのではなく、自分がまず読者としての目を養い、自分が満足するような文章を書けるようになれ、という。

素晴らしい文章を書くことが製品開発より簡単だとは思わない。どんな製品でも使う側は素人(少なくとも、初めて使う人)を想定するべきだと思うし、逆に文章のよさをしっかり理解できる読者になるのはそう簡単でもない。ビジネスを教えるときも、まず自分が目の高い消費者になって、その自分を満足させられる製品を開発しろ、って言った方がいいんじゃないかなぁ。

村田はエッセイと小説の書き方は違う、とそれぞれを解説しています。ではブログは何だ?・・・私はこれは、いつか何かに使うつもりで書くメモやスクラップブックの類だと思ってます。このブログは、本を読んで心に残ったことを書き留めておくところ。だから人様にお見せできるような文章ではないんだけど、他人が本を読んだ感想を、メモでいいから、おしゃべりでいいから、見てみたいと思うことがあるので、もしかしたら自分以外にもそういう人がいるか・・・と思っています。しかしそれにしても、ただ思いついたことをダラダラと書いたり、偉そうに誰かをけなしたりしてはいけないなぁ・・・としみじみ思いました。ていねいに書き、ていねいに生活したいものです。

・・・今日はこのくらいで失礼します。(かしこまって)以上。

February 08, 2009

ムハマド・ユヌス「貧困のない世界を創る」153

貧困に苦しむ村の女性たちに、自分たちで身を立てるための原資として1ドル、数十セント、といった少額融資を行う「グラミン(村の)銀行」を設立してノーベル平和賞を受けた、ムハマド・ユヌス氏の受賞後初の著書です。

世の中を変えることをやり遂げた、すっごい人だと思っていて、そのグラミン銀行や彼の提唱する「ソーシャル・ビジネス」のことを詳しく知りたかったんだけど、内容としてはそういった事実の羅列ではなく、彼の考えを熱く熱く語るものです。エピローグとしてノーベル賞受賞演説全文が末尾に掲載されているので、それを読めば彼の言いたいことは集約されていて、本文はその解説といった感じです。したがってこの本を読んでも、なぜどうやって世の中を変えられたのか、というマジックはまったく見えてきません。

きっとみんな思うことだろうけど、グラミン銀行と同じものを日本に作ってもしょうがない。日本の問題は1ドルを借りられないことではなくて、ワーキング・プアーとか、食べられる最低限のお金はあるのに孤立してしまいがちな人間関係とか、そういったところにあるから・・・。

愛や夢や尊敬。自分は価値のある人間なんだ、とみんなが思えるようになれば、モンスターxxとかネットいじめとかが減るはずなんだけど。何も思いつかないけど、生きてるうちにいつかは、本当に人を助けられる仕事ができるようになりたいなぁ。

もちょっと、ソーシャル・ビジネスに関する本を探して読んでみよう。