木下半太「悪夢のエレベーター」122
駅ナカの本屋の店頭に平積みにされていて、つい出来心で買って読んだ。
自分でひまつぶしの文庫本を買うのは、ひさびさだー。
偶然エレベータに閉じ込められた?人々が繰り広げるドタバタ劇、どんでん返しに次ぐどんでん返し、どんな人にも秘密あり、とっても怖いのに笑いの絶えないミステリー。という感じです。
帯には「笑いと恐怖の密室劇で、ハリウッドと吉本新喜劇に殴りこみ!?」「あなたの予想は100%裏切られる!面白すぎて、怖すぎて、一気読み確実!」。
まぁその通りですね。いかにも小劇団の劇作家が書いたものらしく、登場人物や場面が少なく、別にライブで出てきてもいい人まで電話やメールでリモートなやりとりが多い。けっこう陰惨な場面もあって、これをミステリーだと思って読むとちょっと夜トイレに行くのが怖い感じだけど、舞台だと思って読むと単純に楽しめます。
若いうちにしか書けない、いいスピード感があります。情景がアリアリと目に浮かぶ、めまぐるしい展開。行間を読むひまもないけど、読もうとしてもそんなことまで書き込んでない。深いとは思わないけどこの作家が目指してるのはじわ~っとくる感動ではなくて興奮だと思うので、今はこれでいいんじゃないでしょうか。といってももう34歳ですが、50、60と年を重ねてくたびれてくる頃には、腹の底にズーンと来る小説だか舞台だかも書けるようになるのでは。
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