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December 14, 2006

マイケル・デル「デルの革命」46

デルコンピュータ会長マイケル・デルによるビジネス書。生い立ちについても書かれてるけど、子供のころ初めてやった商売のことなど、徹底してビジネスで成功するためのことに集中して書かれています。とてもわかりやすく、ポイントが絞られていて、デルらしい良書です。出版は1999年とちょっと古いけど、あらゆる業界に適用できる普遍的な内容だし、まだ読んでない人にはぜひ、お薦めです。文庫にもなってるみたいですよ。

会社の成功にいちばん大切なものは、社員全員が本気で熱くなっていること、なのかな。サプライチェーンだとかダイレクトモデルとかがデルの強みなのは事実だけど、それは長い歴史の中の出来事でしかなくて、今後何が起こっても新しいことに喜んでチャレンジできることが、最大のポイントなんだ、ということが、繰り返し書かれています。そういう点で、第三者がデルについて書いたケースとは読み応えがまったく違う。

以下、自分用のメモ。今回たくさんあるので、注意・・・:

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P60 いちばんの不安は「手を広げすぎていないか」。やっぱ不安だったろうなぁ。

P62「オリンピック計画」という壮大な最先端コンピューティングプロジェクトを立ち上げたが、そんなもの顧客は誰もほしがっていなかった。やってみて失敗をかみしめるのが、一番勉強になるのだ。しかし、会社が大きく太ってくると、ベンチャーならつぶれてしまうくらいの失敗をしても、何の反省もしないまま存続してしまうんだよな・・・。

P77~ ノートパソコンへの進出について。ソニーのリチウムイオンバッテリーをいち早く取り入れたことが成功として書かれている・・・こういうことを「今見ると痛々しい」とか「これはデルのせいじゃなくてソニーのせいだ」とか言うより、このときは失敗してしまったけど、いつかは誰でも失敗するんだから、正しく対処して次につなげられればいいんだ、という気分に、この本を読んでると、なれる。

P106 二人の上司が責任を持って部下をサポートするマトリックス組織なのだそうだ。これはその後も成功してるのかな。

p108~ デルでは製品ラインをセグメンテーションしてることが成功につながっている・・・という仮説?について、先週土曜の授業で議論になった。Optiplexは企業向けにネットワークを重視。Dimensionは高機能の小企業・個人向けPC。ノートも企業向けLatitudeと個人向けInspironを用意。・・・これがぴんと来ないんだよな。個人でLatitudeの方がほしい人もいるだろうし。ただ、私が気になってるのは、企業側が考えるセグメンテーションは実際の顧客とズレることがあるということだけで、さまざまな具体的な需要に応じて製品ラインを充実したり、サービスのオプションをたくさん用意したりすることはとてもいいやり方だと思う。たぶんそれで成功してるんじゃないかね。

第12章、13章ではパートナー(サプライヤ)との関係について詳しく書かれてます。
つい最近「靴下屋」についてテッテー的に調べてきたところなので、重なる部分がとてもあります。
デルも靴下屋も、オンラインで在庫情報をシェアして、毎日部品を納入してもらう。発注というより、サプライヤ側で、なくなりそうになったら持ってきて在庫棚に積んでおく。

それと、品質管理については極めて厳しく、かつ自社の1部門のように親密に、パートナー会社を大切にする。自社の一部門でないことのメリットは、各社が自社の一番強いところだけに資源を集中できること。デルは最高のグラフィックボードのメーカーになろうとする必要はないし、靴下屋はある種の靴下の織り方や仕上げについてのプロになる必要はない。

また、そうすることによって、1部品メーカーが実力をつけると同時に納入量を確保し、結局は彼らにとっても厳しい競争を勝ち抜く優位性となるわけです。

これと対比してトヨタ方式による下請けの圧迫って話も出てくるのですが(強い業者が弱いものを買い叩く)、適正価格を維持するかどうか、利益をどう配分するかは、会社(社長)の考え方次第。会社の業務がうまく回っているかと、いい会社といえるかどうかは、また別のところにあると思う・・・。日本企業は一般的に、日本って国全体の企業力とか国民の生活とかを高めようという気持ちが、ちょっと薄いと思う。

P119 「Velocity(速度効率による利点)」を大切にし、「Excess(過剰)」と「Obsolete(時代遅れ)」をタブーとする。・・・PC部品に関しては、真っ当というか当たり前というか。


P154 成功のために、大切なことは「簡単に言ってしまえば・・・社員とのパートナーシップを築くことである。」ダイレクトモデルに関する信念、自分が偉大なことの一端を担っているという気持ちを分かち合うこと。

P171 ↑そういう気持ちを持たせる上で、外からの働きかけはほとんど無意味で、社員の中ではぐくまれるものだ。と書いてあります。それもその通りだな。スタバでは店員が全員お客さんの目を見て話すことを徹底していて、自分がスタバの一員だということに誇りを持つようにしてる、そのためには(USでは)パート社員にも健康保険証を持たせてるし、待遇を厚くしてる、らしい。Cf. p186「デルはチームとして働く起業家の集団なのだ」

P176 NC=Network Computerという名のThin clientというかダム端末が流行ったらしい。この流行は繰り返してるけどまったく実を結んだことがない。Pen computingとかPDAもそうだとデルは言ってるけど、確かに根付かないなぁ。

(途中、ばらばらに読んだのでメモなし。)

P285 社員から見て「Big thing(ITの未来とか会社の戦略とか)」と思えることでなく、「Little thing(ケーブルが見つけにくいとか)」と思われるようなカスタマーフィードバックこそが重要。普段からみんなが不便だと思っていることが解消されるうれしさが、ロイヤリティにつながるんだろうな。うーん、うちぁそれができていない会社の典型かな・・・

P289 「ライバルのことばかり考えないで、顧客について考えろ」モスバーガーの人もそういうこと言ってたな。競争相手が何をやってるなんて、全然考えません。って。基本的にいいことだと思う。たぶん競合のことは社内の一部だけが一応意識してればいいんだろう。

P294 5つのポイント。これ重要そうだ。
・変化を期待する(世の中は変わるものだ。まっ先に変化に対応するビジネスチャンスだと思って喜んで対応すればいい。)
・インターネットを活用する(cf. p137 「インターネットの本当の可能性は、情報の流れを加速し、あらゆる種類の取引に影響を及ぼす能力にある」1999年のこの言葉は、今でも生きてるのかな。正直わからないので、後で見直すために書き残しておきます。)
・優先順位を見直す(価格だけじゃない、と書いてある)
・成長をコントロールする(即断と計画が大切。ムーアの「法則」ならぬ「目標」をたててそれに合うようがんばって開発する・・・みたいな話かな)
・事業の「仮想統合」をめざす(これはサプライヤとの関係のこと。)

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少なくともこの本を読むかぎり、いい会社だ。うちの会社も、little thingへの対応をもっと大切にするような会社にならないものか・・・。
あ、司馬先生がこないだ「会社に大きな問題があるときは、自分で改善しようなどと思わずに辞めてしまえ」って言ってたな。正しいとも思う。しかしこの業界に理想的な転職先などあるんだろうか・・・。


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Comments

Blackcombさん、コメントありがとうございます。
うちもだけど、たいがいの会社は、カスタマフィードバックを受け入れるときに、「やったりやらなかったり」でしょう?Dellの少なくとも本社では(この本が本当なら)全部やろうとしてみる、みたいです。

それが直接ビジネスに結びつくからだろうし、仕事の性質が違うからしょうがないんだけど、お客さんががっかりするようなお返事を返すことが多いときは、もう少し真剣に考えてから答えろよ・・とアメリカ人に言いたくなることもあります。

(これは、「客のわがままを全部きけ」ってこととは全然違いますよ。詳しいことは、本を見てもらえると、よくわかると思います。。)

> うちの会社も、little thingへの対応をもっと大切にするような会社にならないものか
確かにそういった部分は結構目立つかも知れませんね。でもそんなにひどいですかねぇ。まめたろうさんの周りがそうなんでしょうか。製品やサービスによっては、そういった取組みをしっかり行っているものもあるようですよ。little thingは目立たない場合が多いですけどね。

> いちばんの不安は「手を広げすぎていないか」。
DELLもやっぱりサービスに力を入れてハイブリッド企業になろうとしているんでしょうか?
ちょっとずれるけどスタバもコーヒーだけだと心配なのか少し前からCDとかが目に付くようになってきましたね。

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