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November 2006

November 28, 2006

御立尚資「戦略『脳』を鍛える」43

やっと読み終わりました!ひぃひぃ

ビジネス書です。会社の戦略を外側からみたもの(コトラーとかポーターとか)でも内側からみたもの(伊丹流とか)でもなく、戦略の立て方、How toに属する本です。学者さんたちがレトロスペクティブに過去を分析するのに対して、How toのうち「どうすればひらめくか」、そのための脳の鍛え方について書いています。

ひらめきを自力・必然と考えるか他力・偶然と考えるかの違いによって、他力だと考える人はそれをセレンディピティと呼ぶのかな。みたち氏は前者だという印象です。

視点の置き方として「拡散レンズ」「フォーカスレンズ」「ひねりレンズ」という3つをあげてます。虫の目・鳥の目・時間の目という手法と比べて、前の2つは似てる気もするけど、「時間の目」に当たることはレンズとは別の項目で述べられています。

「右脳と左脳」とか「あなたの脳は何歳?」といった最近の話題にもつながっています。
まぁ、こういう本を読めば楽にひらめきが得られるかというと、そういうわけでもないんだけど。ポーターやコトラーと伊丹流とこの本と、どれが即効性があるかというと、自分のことを客観的にみることは一朝一夕ではできないけど、外のことはまだ客観視しやすいという意味で、ポーターコトラーのような気がします。(こういう比較自体無意味だとはわかってるけどね。)

BCGではこういうのをまじめに実践してるんだろか。それともみたち氏の頭の中にあったことを、書いてみたって感じなのかな。コンサルティングってどういう世界なんだろな~、まだ全然わかんないや。

というわけで、tAKさんありがとうございました。

November 23, 2006

森祐治・高橋尚哉「こんなに使えるLLP設立マニュアル」42

学校の課題でLLCとLLPについてレポートを書くことにしたので、借りて読んだ。

LLC=limtied liability COMPANY (合同会社)、LLP=limited liability PARTNERSHIP(有限責任事業組合)。前社は今回の会社法制定に伴って2006年5月に、後者は2005年8月にできた法律で制定されました。株式会社みたいに株主利益を考えなくていいし、リスクが有限になるけど利益配分は自由にできるゾ、という点で、小規模の事業を計画している人たちにとっては注目の新システムです。

大学でなにか本当に金になりそうなアイデアが出てきたら、こーいうのをでっちあげれば設立すればいいのかは・・。勤務先との利益相反って考えたほうがいいのかな・・・。会社辞めてもいいけど、あんまりもうかりそうにないしなぁ・・・etc、いわゆる「捕らぬタヌキの皮算用」でもしながら風呂に浸かってるときに、こういう知識もあると夢が広がりますねという感じです。

あーあ、今日もこれ1冊読んだだけでもうこんな時間だぁー。レポート終わらないじゃんー。

(これで、この日記を2月に始めてから42冊目。だと思う。学校行きながら1ヶ月4冊。エライと思わない??)

あさのまさひこ「海洋堂クロニクル」41

なぜか学校で、海洋堂についてケースを書きたいという人がいたので、関連本をゲットして、著者インタビューに同行してみました。それが、これです。

ワンフェスって何?・・・
わたしはオタクな世界には比較的強いのではないかと思ってましたが、甘かった。「まんだらけ」何度か入ったことがあるくらいでは、まだまだやっと入り口です。ワンフェス(ワンダーフェスティバル)とは、ガレキ(ガレージキット:個人で手作りするフィギュア組み立て、あるいは組み上げキット)版のコミケです。アニメやマンガのキャラを立体にしたものを売りに行くんですね。おもしろいのは、主催者が海洋堂だってところ。以前はエヴァンゲリオンで有名なガイナックスが主催してたんですって。・・・コンテンツ権利保持者が著作権法違反を放置していいのか?という議論が起こったからか、このフェスティバルには「当日版権制度」という、その場で売り切るキットについてだけちゃんと権利者とライセンス契約を締結してロイヤリティを払う仕組みがあって興味深いです。

で、この本全部読むと、海洋堂のすべてがわかる・・・らしい。
深すぎてついていけないけど、私のような、芸術だかなんだか知らないが好きなものは好き、すばらしいものはすばらしい、と思う人間から見ると、この人たちアートってものに偏見をもちすぎです。ボーメさんのフィギュアがカルティエ財団に認められたらいいじゃないですか。法隆寺の仏像の優美な曲線を見ながらわたしは、彼のセーラームーンの髪の流れを思い出しましたよ。こういうfictitiousな女性美を極められる人に、本気で現代の仏像を創って欲しい。

・・・執念すら感じさせる、歴史的な本です。フィギュア職人さんって、ソフトウェアのディベロッパーに似てます。
以上。

November 11, 2006

フィリップ・コトラー「コトラーのマーケティングマネジメント ミレニアム版」40

タイトルの「コトラーの」っていう部分が冗長で、氷川きよし「きよしのズンドコ節」みたいですね。
そんなことはどうでもいい。とうとう読了しました!本文875ページ。ひとつノルマを果たしたという気分です。
達成感があるかというと、ちょっと違うかな。なぜなら、マーケティングの「バイブル」というより「エンサイクロペディア=百科事典」という感じで、とにかく何でもかんでも書いてある本なので、百科事典を1冊頭からお尻まで通しで読んでしまって、なんかがんばったけど頭のどっかで(バカなことしたなぁ)という意識もある。そんな感じです。

MBA通うヒマがない人は、それでも一通り読んでおくといいと思う。マーケの人やアメリカ本社が言ってくることの意味がだいたいわかるようになります。

たいした複雑なことを言ってるわけじゃないです。知ってれば安心。あと、テレビCMとかキャンペーンとかで、いままで自分という消費者の行動がマーケターにどう見透かされてきたか、種明かしが載っています。

ぜんぶ読んでも面白い本だったよ。内容はとにかく広範で、文章はきわめて平易で読みやすいです。
コトラーって人は、大先生とか権威というべきなんだろうけど、もしかして世界最高のマーケティング・マニア?自説をぶつ本ではなくて、現在一般的にみんなが依拠してる名作の、エッセンスというよりポイントをきちんと伝えてる。偏ったところがないという意味で、いい本だと思います。
内容についてここで書いてもしょうがないんだけど、マクロ環境、購買行動、競争戦略、市場セグメント、製品ライフサイクルとポジショニング、開発、グローバルマーケティング・・・等々、なんていうか「全部」載ってます。ただ、本当のところ、おそらくPEST分析とかSWOT分析とかは、実際にやってみないとできるようにはならないと、授業を受講しながら実感してます。マーケターになりたい人は、やっぱり本だけじゃなくて実践する必要があると思う。

ミレニアム版のミレニアム版たるゆえんとして、ページ欄外に「ミレニアムコラム」が載ってるのですが、これは読む価値ないです。「ロンドンのミレニアムドームではxxxまでxxxイベントをやってるよ!」とか。なんでこんなつまらないものを追加したんだろう。ちなみに、英語版は毎年更新されているらしいけど、日本語訳がついていかないようです。

うーむ、大著を半年以上かけてやっと読み終えたので、なにか大きなことを書こうと思ったけど、むりだった。

参考: http://www.torayauiro.co.jp/teiban/11toratorayaki.html (しつこい)

November 07, 2006

本多静六「私の財産告白」39

教授に薦められて読んだ。
1866年に貧しい農家の子として生まれて、努力に努力を重ねて東大農学部を首席で卒業、一代で巨万の富を成した「伝説の億万長者」が、晩年に自分の生き方やお金に対する考えをつづった本です。

感想:本人も言ってるんだけど、当たり前のことを当たり前に書いてある本です。『金持ち父さん』みたいなのじゃなくて、地道に働いて給料は必ず四分の一を貯金し、投機でなく投資し、もうかったら元金を戻してもうけだけを遊びのつもりでまた投資する。

どんなに給料が少なくても、もっと少なくても生きていけると考えて必ず1/4貯金する。
怠ける天才より努力する凡才の方が勝てる。

とかね。

でもお金についていえば、一番偉いのは、1/4を除いたわずかな給金を渡されて毎月やりくりしてきた奥さんだったりして・・・。

若い頃はずいぶん生意気を言って、周りの人たちに煙たがられたこともあったようです。自分のためでなく、周りの人を立てるようにしたら、うまくいくようになった、というような、これも当たり前のことを書いています。

普遍的な真理ってあるんだなぁ、やっぱり。と実感しました。昔の人が口をそろえて言うことは正しい。とかね。
『金持ち父さん』を読んだりライブドアの繁栄と転落を見たりして、お金なんて・・・と厭世的になってる人がいたら、こういう本を読むといいと思います。要は努力してたくさん稼いでよく使え。ってことです。 以上。