« 坂村健「グローバルスタンダードと国家戦略」 | Main | 世耕弘成「プロフェッショナル広報戦略」 »

May 06, 2006

A.ブランデンバーガー&B.ネイルバフ「ゲーム理論で勝つ経営 - 競争と協調のコーペティション戦略」

これも課題。一見とっつきやすそうな文庫本だけど、けっこう読みづらくて苦労しました。論理が通じない箇所がたくさんあるのは、おそらく翻訳上の問題かと思う。

CompetitionとCooperationからの造語「Co-petition」がこの本の原題。学習院大学教授 淺羽茂氏によるこの本の「文庫化によせて」の中に、「ゲーム理論を用いた戦略研究の本質は、企業間の相互作用を明示的に意識すること」とあります。ひとつのゲームで一人勝ちして、そのうち企業生命を断たれるのでなく、最終的に自分が勝ち残るためにちゃんと周囲を見ることを学ぶための本です。

P = Player, A = Added value, R = Rules, T = Tactics, S = Scope から成る「PARTS」がゲーム戦略の基本だといいます。ここでいう「戦略」ってのは、伊丹先生が定義する「会社の長期設計図」を意味する「戦略」と比べて、ずっと短期で、直近のゲームに勝つための方法をいうので、「作戦」とか「戦術」に近いものだと思います。

ただし。決して、「みんな仲良く共存するための本」ではありません。つぶされたり、競争によって自滅したりしないための、あくまでも自分がゲームでよりよく勝つための本。ビジネスってまさにゲームなんだよなぁ。どんなゲームでも、最中に他のプレイヤーの動向って見るでしょ。ゲームにはたいがい『隣の人にマイナス300点』みたいな叩き合いメニューがある。その矛先にならないようにするか?それともそういうメニューを独占して周囲を叩き散らすか?いろいろな戦略をとれるけど、普通は、1つのゲームで友情を台無しにするほど汚い手は使わない。そういうことです。

会社のトレーニングでゲーム理論を応用したプロジェクトリーディングをやったことがあるけど、潰しあっちゃって全然理論が学べなかった記憶が(笑)・・・アグレッシブな会社ですから・・・。でも、コンシューマに広く浸透した製品を売っている企業にしては、「competitorもpartnerもみんなお客様でもある」という意識が低すぎる、と思う。以前嫌な思いをしたcompetitorやpartnerの人たちは、みんな内心なんかちょっとイヤだな~と思いながらユーザーとしてうちの製品を使い続けてる。うちの会社を辞めた人もそうだ。そういうのが問題だってみんなもっと認識したほうがいいよ・・・。現場じゃなくてもっともっと偉い人たちが。

私が前の部署でどうやって契約交渉を学んだかと思い返してみると・・・
うちの社員が、取引先のUSの小さな企業のやり手弁護士に見え透いた策略をやられて、まんまとひっかかった後で「助けてくれ~」って駆け込んでくる部署だったわけです。(もー手遅れだよ!なんでそんな手に乗っちゃったんだよ!)と思いながら、うちのバカがすみません、しかるべき者の決済が降りておりませんので社内で再考させていただいております、とか言い訳するんだけど、尻拭いがどうしても間に合わないこともありました。バーゲニングパワーで負けようがないうちの会社が、いとも簡単に丸め込まれるのを何度も何度も経験して、きちんと戦うことの大切さを思い知ったわけです。社員のなかに、「うちの会社は偉そうだからパートナーさんに合わせなければ」という中途半端な謙虚さがあるのもいけないのだ。ゲームは全体を見渡す能力がなければ。

感想メモ:
P130「新規プレイヤーの参入によってゲームの構造自体が変わる。」・・・うちのマンションの管理会社を変えたときがそうでした。既存の管理会社の委託料が高いので、新規業者数社と合見積もりをさせたら、元の会社も金額を下げてきた。だったらいつもお世話になっている管理人さんが引き続きやってくれるのがベスト・・・ということで継続決定したら、その後で管理人さんの交代を知らせてきた。敵もさるものです。

しかし目下の問題は管理費未払いの人の訴訟、、、。あまりやさしくしすぎないで、ビジネスとしてきちんと対処したほうがいい気がするなぁ。

マンションでもx窓会でも会社でも、自分が参加しているいろいろな組織で、次々に問題がもちあがる。自分で仕切れてうまく解決できればほっとするけど、何も出来ずに失敗するとすごく申し訳ない気がします。何でも仕切れてスバっと目が覚めるような解決ができるようになりたいです。

P239 「一番の返礼は、一番の顧客に」、つまり、他の業者からうちに乗り換えてくれたら安くするよ、ではなく、長く自社製品を愛用してくれてる人にディスカウントを。
地元の美容室でもそうやってくれるといいんだけどなぁ。長く行けば行くほど、シャンプーを買えと薦められたり、トリートメントしてもらったり、何かとお金を取られることが多いよなぁ。

P345 「情報を隠す」ことも、時には大事だ。・・・この辺から、win-winみたいなキレイゴトじゃない世界の話が出てくる。でも、基本的にagreeです。誰も傷つかず、できるだけ満足できる結果に到達できるなら、知らせない方がいいことってあると思う。

P377 IBMがIntelのPentiumプロセッサの出始めに、演算結果にエラーがあることをことさら攻撃した事件。当時IBMはPentiumマシンをほとんど出していなかったのが理由・・・とあります。最近ではSysinternalsをやっているMVPがSony/BMGのrootkit批判を繰り広げたことが記憶に新しいけど、彼ら自身はほとんどこの時のIBMのような批判は受けてないと思う・・・。

« 坂村健「グローバルスタンダードと国家戦略」 | Main | 世耕弘成「プロフェッショナル広報戦略」 »

本)経営・ビジネス系」カテゴリの記事

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30671/9931291

Listed below are links to weblogs that reference A.ブランデンバーガー&B.ネイルバフ「ゲーム理論で勝つ経営 - 競争と協調のコーペティション戦略」:

« 坂村健「グローバルスタンダードと国家戦略」 | Main | 世耕弘成「プロフェッショナル広報戦略」 »