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February 2006

February 26, 2006

常盤文克「「知の経営」を深める」

日本人の書いたビジネス書って読んだことありません。どーも、プレジデントとかエコノミストとかに書いてる、なんとかの兵法がどうだとか、私の経営、みたいなのって読む気がしなくて。あんたがどう成功したかはわかったよ、でもそのまま真似しても絶対同じ結果は出ないし、みたいな感じ。

でも、生意気ばっかり言ってないで読んでみることにしました。この筆者は花王に新卒入社して、会長まで上り詰め、現在は特別顧問というすごいお方です。

内容は、いきなり経営論・・・ではなく、哲学?人間を含む自然のすべてには神が宿っている、人は自然に感動する気持ちを常に持ち、自然の摂理からビジネスを謙虚に学ぶべし、という感じのことを書いてあります。これだけ成功した人が言うので説得力がありますが、読む人の好き嫌いはあるでしょうね。

ほとんど全編そういう話で、ビジネスに関しては、わずか5%くらいのページを割いて「いま手がけている仕事が成功するか否かは、それが企業を取り巻く市場の環境に合っているかどうかによって決まる。」・・・等々、当たり前のことだけど一応書いておくよ、みたいな感じに、ものっすごく簡潔にズバっと書いてあって説明もフォローもない、というのがおもしろいです。

個人的には、共感するところが多いな。感動したというより、感覚とか考え方が似てる人だと思う。わたしも行き詰ると井の頭公園で一番大きな木に触りに行ったりするし・・・ でも多分共感するよりも、目からウロコが落ちるような本を読んだほうが脳が活性化するだろうから、もっと別の人の本も読んでみよう。

ちなみに、今日図書館で借りて、喫茶店でほぼ読破しました。軽いとは思わない、いい内容だと思うけど、論文ではなくて平易な文章なので、さらさら読めました。

February 12, 2006

ダン・ブラウン「ダ・ヴィンチ・コード」

誰かが面白いって言ってたので、買ってみた。

なぜかイメージが「薔薇の名前」と重なってしまいます。あれを読んだときはハマりました。オカルトチックで閉塞的な修道院という世界がなんとも恐ろしくて、ゾクゾクしながら読みました。あの本は2段組で字も小さく、上下巻読み終わるのに1~2週間はかかったと思う。

一方、ダ・ヴィンチ・コードは一晩で読み終えました。「薔薇の名前」くらいの読み応えを期待してたので、スカッって感じかな。同じ上下巻でも1段組だし字も大きい。それだけでなく、内容的にも、モチーフはミステリアスなのに文章や構成はまるでシドニィ・シェルダン。3つくらいのストーリーが同時進行し、各章は「振り返って主人公は犯人の顔を見て息を呑んだ」かなんか、気持ちをあおって終わる。いい人が実は悪い人で、悪いと思った人が実はいい人で。暗号の謎自体はそれなりに楽しみながら読んだけど、シオン修道会が何世紀にもわたって守ってきた秘密が2,3日で解けちゃうってのはどうなんでしょう。

ジェットコースター的な小説ははやりなのかな。シドニィ・シェルダンみたいに安っぽくはないにしろ、ジェフリー・アーチャーほど重厚でもないです。1800円x2冊分楽しんだと言えるかどうか・・・。

今ならまだ高く売れるだろうから、今日にでもブックオフに売りに行くつもり。いくらになるんだろう。

・・・と、今日は辛口なわたしがいま楽しみにしてるのは、これだ。「安楽椅子探偵」。綾辻行人と有栖川有栖ってのは、ちょっと文体にハナにつくところはあるけど、昔ながらの本格推理ものを書き続ける作家たちで、私もときどき読んでるので、面白そうです。ビデオ録って何度も見て推理しよう。